あなたならどうする?超攻撃的レアル・マドリー24-25版、アンチェロッティごっこを真面目にやってみた
サッカーを笑え #22
私も大好き、みんなも大好き。監督ごっこはサッカーの楽しみだ。今回は24-25シーズン版、アンチェロッティごっこを真面目にしてみたい。
CL優勝チームからクロース、ナチョ(現アル・カーディシーヤ)、ホセル(現アル・ガラファ)が抜けたが、ケガ人が復帰してくるし、ムバッペが加わった。手持ちの駒が豊富過ぎて、うれしい悲鳴を上げるカルロ・アンチェロッティは誰をどこにどうはめ込むつもりなのか? 手持ちの戦力を上手に組み合わせて、最大限のパフォーマンスを引き出すことにかけては世界一と言っていい戦術家になったつもりで考えてみた。
今季のレアル・マドリーがアンチェロッティ政権最高の戦力充実度であることは疑いがない。
振り返ると、これまでは足りない戦力をやりくりで補うことが仕事だった。昨季は開幕直前にベンゼマ(現アル・イテハド)が抜けてクルトワ、ミリトン、アラバが十字靭帯を切った。主力4人が抜けても戦えるようやりくりをした結果がこの形だった。
■23-24:[4-4-2]中盤ダイヤモンド型
CFを置かずベリンガムをトップ下に置いてゴールを量産させることに成功したこの形にアレンジを加えてCLファイナルに向かっていったことはここに書いた。
これまでアンチェロッティ第二次政権(2021年6月〜)のやりくりは攻撃力のアップに費やされていた。最後の大型補強エデン・アザール以降、昨季ベリンガムがやって来るまで、大型アタッカーの補強はなし。レアル・マドリーに復帰した彼が任せられたのは、アザールが期待外れで、ビニシウスはゴールを外しまくり、ロドリゴはまだまだ若造、というチームだった。ちなみに一昨季の典型的な形はこれ。
■22-23:[4-3-3]偽右ウイング
この形はロドリゴの成長とともに、右ウイングに彼を置き、チュアメニをベンチに下げたより攻撃的な[4-3-3]に進化していった。
クロースの後釜問題は…モドリッチの返り咲き!?
ここからは今季の話をする。まず主な戦力を確認しておく。
FW:ビニシウス、ロドリゴ、ムバッペ、ベリンガム、ブラヒム・ディアス、アルダ・ギュレル、エンドリッキ
MF:モドリッチ、バルベルデ、セバージョス、チュアメニ、カマビンガ
DF:フェルラン・メンディ、フラン・ガルシア、アラバ、リュディガー、ミリトン、バジェホ、カルバハル、ルーカス・バスケス
GK:クルトワ、ルニン
この構成を見て、最初に気がつくのはFWの過剰だ。ベリンガム、ギュレルはMF的に起用されることが予想される。アンチェロッティのうれしい悲鳴はこのやりくりにある。一方、彼の苦しい悲鳴はクロースの後釜問題にある。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。