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福田師王はボルシアMGの真のストライカーになれるか。ニヤリと笑える、その時は?

2024.08.05

遣欧のフライベリューフリッヒ#5

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回はプレシーズンマッチで結果を残し、新シーズンへ確かな兆しを見せたボルシアMGのFW福田師王にフォーカスした。神村学園高等部からJリーグを経ることなくドイツへ渡り、昨季はトップチームで5試合に出場。次に狙うのは当然、トップ完全定着とレギュラー奪取だ。その現状と今後への焦点について林記者が迫った。

無得点で謝罪の「面白い子」

 純粋で怖いもの知らず。それでいて言葉に力があり、人を魅了するストライカー。それが、高校3年生の時に全国高校サッカー選手権大会で得点王に輝き、Jリーグを経由せずにドイツの地へと渡った福田師王に初めて取材した当時の印象だ。

 昨年9月、ボルシア・メンヒェングラットバッハのセカンドチームの試合を取材に行ってきた。試合会場は屋根のない陸上トラック付きの芝もところどころはげたピッチ。数百人程度の観客も観戦に訪れていたが、トップチームが戦うブンデスリーガとは大きく違い、華々しさなどまったくない環境である。そんな環境で、福田は苦悩していた。

 仲間からパスは出て来ず、チャンスもほとんどなし。能力の片鱗こそ見せていたものの、最大限発揮するようなパフォーマンスは残せなかった。

 試合後、声をかけると福田は開口一番に言った。

 「せっかく見にきていただいたのにゴールを見せられなくてすいません」

 クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシ、アーリング・ホーランドのようなストライカーでさえ、得点を奪えない試合はある。だけど、彼らは誰よりもゴールに貪欲で、そこに突き進んでいるからこそ得点を積み重ねるだろうと思っていたのだが、福田からサラッと出た言葉を聞いて、「これがストライカーなんだ」と改めて認識させられた。

 どんな試合でも点を取りたい、誰かに自分のゴールを見てほしい、そんな思いが自身を突き動かしている。本人には「いやいや、そんなことないよ」と返しながら、その裏で「得点を取れなくて記者に謝るなんて面白い子だな」と心躍ったことを覚えている。

2023年10月の練習試合、シント=トロイデンVV戦で五分五分のボールをモノにしてアシストする福田

アリアンツ・アレーナでの“キラキラ”

 福田は決して喋りが達者なタイプではないが、「まだまだ慣れていない」と言った方がいいのかもしれない。高校からドイツへ渡り、取材を受けない時期が少しあったことも影響しているだろう。受け答えという点では、質問を受けてから少し考えることもよくある。ただ、彼から発せられる言葉は”強さ”に溢れている。聞いていて心地が良くなるのだ。

 壁にぶつかる苦労を聞けば、「壁を乗り越えた時にどれくらいレベルアップしているかが楽しみなんです。ちょっと落ち込む時はありますけど、落ち込んでいる暇はなくて。楽しんで、しっかり乗り越えて、結果を残してもっと認められる選手になりたい」と前を向き、新天地の難しさを聞けば、「挑戦することが好きなので問題ないです。失敗したとしても、じゃあまた挑戦しようみたいに思えるので」と笑う。

 トップチームに昇格後、2度目の途中出場を果たしたバイエルン戦。満員のアリアンツ・アレーナでの試合ともなれば緊張感があるように思うが、キラキラした目で「最高でした」と当時の心境を明かしていた。……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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