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「プロの興行を文化祭のように作りたい」大分トリニータが仕掛けた進撃の巨人コラボ、「亀祭」の舞台裏

2024.08.01

トリニータ流離譚 第15回

片野坂知宏監督の下でJ3からJ2、そしてJ1へと昇格し、そこで課題を突きつけられ、下平隆宏監督とともにJ2で奮闘、そして再び片野坂監督が帰還する――漂泊しながら試練を克服して成長していく大分トリニータのリアルな姿を、ひぐらしひなつが綴る。第15回は8月11日のJ2第26節ロアッソ熊本戦での進撃の巨人コラボなど、クラブ創設30周年に仕掛けた「亀祭」の舞台裏について関係者に話を聞いてみた。

 6月19日、大分フットボールクラブからビッグニュースがリリースされた。

 8月11日に開催されるJ2第26節・ロアッソ熊本戦にて、来場者先着2万名に「大分トリニータ30周年記念シャツ〜進撃の巨人ver.〜」が配布される。この一報にはトリニータのサポーターのみならず、全国津々浦々の“進撃ファン”も一斉に色めき立った。

大分出身の諫山先生との縁、“予約販売版”は10分で全サイズ完売

 講談社の『別冊少年マガジン』にて2009年10月号から2021年5月号まで連載され、2013年からはアニメ化もされた『進撃の巨人』。作者の諫山創氏が大分県日田市大山町出身であることから、大分FCもかねてコラボレーションを望んできた。それが今回、様々な協力体制の下についに実現。その目玉がこの「30周年記念シャツ」だ。チームカラーの青をベースにしたシャツには主人公・エレンの巨人化した姿が大胆にあしらわれ、クラブの30周年記念ロゴやクラブエンブレム、クラブロゴとともに、エレンが所属する調査兵団のエンブレムも散りばめられたデザインとなる。

Photo: OITA F.C.

 この“無料配布版”とともに、クラブは数量限定の“予約販売版”も発表。こちらは黒をベースにチームカラーの青と黄をあしらったもので、前面には「攻撃」をテーマにエレンと人気キャラクター・リヴァイの姿を調査兵団のエンブレムと組み合わせ、背面には「守備」をテーマに超大型巨人に立ち向かう巨人化したエレンの背中がデザインされている。熊本戦に来場できずとも全世界から購入できるようオンラインストアに窓口を設けたが、6月23日13時の予約受付開始からわずか10分ほどで、全サイズが完売。6月30日から再販売受付という運びとなった。

 おそらく熊本戦当日のレゾナックドーム大分には、配布されるシャツも目当てに早くから長蛇の列が生まれることだろう。混乱を避けるためにも、クラブはシャツの入手を確約できる「シャツ付きチケット」を販売。さらにオリジナルグッズが必ずもらえる抽選会に参加できる「抽選会&シャツ付チケット」、シーズンパス購入者向けの「抽選会&シャツ確約チケット」も用意した。

 クラブ創立25周年の2019年には、8月17日のJ1第23節・鹿島アントラーズ戦を記念試合に設定し、大分市出身の人気画家・北村直登氏デザインの記念シャツを先着2万5000人に配布している。この試合の入場者数は2万8574人。今回はどうなるか。

新しい客層にも楽しんでほしい「亀祭」

 『進撃の巨人』とのコラボレーションが大々的に目を引くかたちとなったが、実はこれもクラブが創立30周年という節目を迎えるシーズンの夏に仕掛ける「亀祭」の一環となる。以前からクラブのマスコットキャラクター・ニータンにちなんだ「亀の祭典」なるものが企画されていた中で、それが今回、名前を変えて形になった。……

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Profile

ひぐらしひなつ

大分県中津市生まれの大分を拠点とするサッカーライター。大分トリニータ公式コンテンツ「トリテン」などに執筆、エルゴラッソ大分担当。著書『大分から世界へ 大分トリニータユースの挑戦』『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』『監督の異常な愛情-または私は如何にしてこの稼業を・愛する・ようになったか』『救世主監督 片野坂知宏』『カタノサッカー・クロニクル』。最新刊は2023年3月『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-』。 note:https://note.com/windegg

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