EURO2024で得た発見と経験を糧に2026年W杯へ。オランダの未来を繋ぐ中盤4人衆への期待
VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#6
エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。
第6回では、準決勝で散ったオランダ代表のEURO2024を総括。負傷者が相次いで不安視された中盤で新たな発見となった4人衆に、国民が期待を寄せる理由を探る。
ベテラン勢には批判も…21歳守護神を筆頭に若手・中堅が台頭
オランダ代表がイングランドに1-2で惜敗し、ベスト4でEURO2024を去ると、オランダ人には複雑な思いが去来した。
大会前にケガ人が相次いだ苦しい台所事情を鑑みれば、この4強という結果は大健闘。特にラウンド16ルーマニア戦の完勝劇(3-0)、準々決勝トルコ戦(2-1)のチーム一丸となって守りきり薄氷の勝利をつかんだ熱戦は国民のハートを鷲づかみにし、準決勝の開催地ドルトムントには11万人ものオランダサポーターが駆けつけた。
しかし、厳しい批判の声も多い。グループステージ第3節ではオーストリアのプレッシング戦術に手を焼くと2-3で競り負けてD組3位に終わった結果、大会レギュレーションの助けを借り辛うじて決勝トーナメント進出を果たしていたからだ。
ベテラン勢への非難も相次いだ。30代の選手のうち、“合格点”はDFステファン・デ・フライ(32歳)ただ1人。DFフィルジル・ファン・ダイク(33歳)、FWメンフィス・デパイ(30歳)は試合によっては良かったかもしれないが、期待に応えきれない試合もいくつかあった。デイリー・ブリント(34歳)に関しては出場時間がわずか1分にとどまっている。
一方で「列強国と比べるとオランダの戦力は劣るが、それでもタレントはいるじゃないか」と若手・中堅の台頭に驚きを示す声も多かった。その筆頭は全試合でゴールマウスに立ったバルト・フェルブルッヘン。もしかすると防げた失点もあったかもしれないが、長いリーチとリアクションの良さを生かして最後の砦となった姿は頼もしかった。まだ21歳ということもあって、「オランダのGKのポジションは10年以上安泰だ」という評価を得た。
ついに本領発揮?シモンスが地位を向上させたプランB
MF陣は、本来ならレギュラー候補のフレンキー・デ・ヨング(27歳/代表54キャップ)、テウン・コープマイナース(26歳/同21キャップ)、マルテン・デ・ローン(33歳/同42キャップ)がそろって負傷で不参加となった。3人の代表キャップ数を合わせると117回にもなる。
そのためEURO2024ではイェルデイ・スハウテン(27歳)、ヨエイ・フェールマン(25歳)、ティジャニ・ラインダース(25歳)、チャビ・シモンス(21歳)を軸にして『プランA』と『プランB』の2パターンの中盤を組むことに。4人が開幕までに記録した代表キャップ数の合計は38回に過ぎなかった。……
Profile
中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。