待望のJ1初得点はさらなる飛躍へのスタートライン。アルビレックス新潟・松田詠太郎が味わった「みんなが喜んでくれるゴールの素晴らしさ」
大白鳥のロンド 第13回
今季のリーグ戦20試合目の出場でとうとう生まれたゴールは、J1で挙げた初めての得点だった。アルビレックス新潟在籍3年目。鋭いドリブルを武器に攻撃にアクセントをもたらしながら、抜群の人間性で誰からも愛されている松田詠太郎は、周囲の喜ぶ姿を見て「みんなが喜んでくれるゴールの素晴らしさ」を実感したという。そんな松田がたどった今シーズンの苦闘と成長を、おなじみの野本桂子に過不足なく伝えてもらおう。
味わったゴールの素晴らしさ。みんながこの瞬間を待っていた!
ついに、やっと、ようやく。アルビレックス新潟の快速アタッカー・松田詠太郎の、J1初ゴールが生まれた。
7月20日の明治安田生命J1リーグ第24節・セレッソ大阪戦。松田にとって、今季20試合目の出場で、今季放った16本目のシュートが決まった。0−0だった39分、左サイドをドリブルで駆け上がってきた長倉幹樹に呼応し、松田もペナルティーエリア内へと走り込む。「ニアに走ろうと思ったんですけど、相手がいたのでファーに離れたら、幹樹くんがすごくいいボールをくれたので、流し込むだけだった」。
左足ダイレクトで合わせたボールはGKの手をはじいてネットを揺らす。
「今シーズン、あそこで何回も外していたので。そこまでの形だったり、動き出しっていう部分では手応えがあった中で、やっと点に繋がったなって」。思わず拳を突き上げて振り返ると、沸き上がるオレンジ色のサポーター。チームメイトは次々と駆け寄ってくる。
「みんながすごい勢いで駆け寄ってきてくれたので、本当にうれしかったです。みんなが喜んでくれるゴールの素晴らしさというものを、あらためて感じることができました」(ちなみにこの瞬間、記者席後方のスタンドで見ていたコーチングスタッフからも「来たー!」と叫ぶ声が響いた)。
これで新潟は勢いに乗り、小野裕二の移籍後初得点も決まる。終盤に1失点を喫したものの、チームは3試合ぶりに勝利を収めることができた。「今日の試合には、本当にラストチャンスだと思って臨みました。チームも連敗していたので、やらなきゃいけないっていう気持ちが、ゴールという形に現れて本当によかった。まずはチームが勝てたことが何よりよかったですし、その上で、自分がやっとJ1初ゴールを決められたことにホッとしています」と、松田は喜びを噛み締めた。
加入3年目にして初の開幕スタメン。スタートは上々だった……
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Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。24年4月からクラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。