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独裁会長の「マッチポンプ」シャビ解任と勝利主義・楽観主義。新監督フリックはうまくいくのか?

2024.06.03

サッカーを笑え #17

1月27日にシャビが「今季限り」を表明、4月25日に撤回・続投が決定するも、やはり5月24日に解任、そして29日にはハンジ・フリック(前ドイツ代表監督)が新指揮官に就任するという急展開。バルセロナでいったい何が起こっているのか。

今のラポルタはかつての自分のアンチテーゼのよう

 「ベッドをともにすることに決めた2人が見ていた夢が実は異なっていたことに気がつくまで、見守っていきたいと思う」と書いてからひと月も経たないうちにシャビ解任。会長と監督はやはり同床異夢だった。

 ジョアン・ラポルタはますます独裁者色を強めている。

 2003年、会長就任直前にインタビューをした時にあるエピソードによって、“人当たりは良いが裏に何かある人”という印象を持った。第1次政権(03-10)時にはその人当たりの良さと弁護士らしい民主的なバランス感覚が前面に出ていたと思うが、第2次政権(21-)の今は、裏に何かある油断できない人という面が出ている。欧州スーパーリーグ構想を支持したり、レアル・マドリーの黒い手による陰謀論を吹聴したりと、かつてフーリガンをカンプノウから一掃した最大の功労者なのに、フーリガンのような言動を見せるようになった。今のラポルタはかつての自分のアンチテーゼのように見える。

 そんな会長の逆鱗にシャビは触れてしまった。……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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