太陽黄焔章 第12回
U-23日本代表が優勝を果たすと同時に、パリ五輪出場権を獲得したAFC U23アジアカップ。この大会で一躍脚光を浴びた選手の筆頭に、柏レイソルの関根大輝を挙げないわけにはいかない。右サイドバックの定位置を確保し、攻守に躍動してチームの目標達成に大きく貢献。一気に多くのサッカーファンの知るところとなった。今回はその激闘の記憶を振り返ってもらうべく、おなじみの鈴木潤が関根を直撃した。
SNSのフォロワー数爆増!激変した周囲の環境
「関根のクロス」
激闘の末、U-23日本代表が4-2で勝利を収めたAFC U23アジアカップ準々決勝のカタール戦後、SNSにはそのワードがトレンド入りを果たしていた。
カタール戦では、右サイドバックの関根大輝が多彩なクロスで多くのチャンスを生み出し、それを受けて大勢の人が彼のクロスを絶賛したことによるトレンド入りだった。
さらにパリ五輪出場権を勝ち取ったイラク戦後には、チームメートの小久保玲央ブライアンから「大会MVP」にも推された。大会を通じてハイパフォーマンスを見せた関根は一躍その名を轟かせ、彼自身の話によればSNSのフォロワー数が爆増したという。
関根は拓殖大学に在学中の現役大学生Jリーガーだ。今年は柏レイソルで右サイドバックのレギュラーポジションを獲得しただけでなく、U-23日本代表でも確固たる地位を築き上げた。全日本大学選抜の経験こそあるものの、半年前までの立場からはあらゆるものが激変した。
韓国戦で芽生えた危機感。J1開幕から続けたスタメン出場
ただ、昨年のアジア競技大会で味わった苦い経験がなければ、今の関根の姿はなかったかもしれない。
「アジア競技大会は、まだ自分のプレーに自信がありませんでした。アジアのプレースピードは大学リーグとは全然比べ物にならなくて、思いきったプレーができなかったんです」
その中でも、関根が特に実力差を痛感した試合がU-22韓国代表との決勝戦だった。
「歯が立たなかった。フィジカル面も全く違った」……
Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。