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覚えておくべき“未来のムバッペ”、エリ・ジュニオール・クルピという一つの現象、17歳の肖像

2024.04.21

おいしいフランスフット #3

1992年に渡欧し、パリを拠点にして25年余り。現地で取材を続けてきた小川由紀子が、多民族・多文化が融合するフランスらしい、その味わい豊かなサッカーの風景を綴る。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第3回(通算161回)は、育成の名門ロリアンで頭角を現した2006年生まれのU-19フランス代表FWで、今季リーグ1の最年少スコアラー(第29節終了時点)でもある、新たな次世代スター候補について。

 『ポスト○○』、『○○の再来』というのは、なんともキャッチーで、あてにならないこともままあれど、見過ごすこともできない気になるワードである。

 そして、今フランスで、『未来のムバッペ』と呼ばれているのが、ロリアンに所属する17歳、エリ・ジュニオール・クルピ(Eli Junior Kroupi)だ。

 怪物と言われるキリアン・ムバッペの系譜を継ぐというのは恐れ多いが、まだモナコにいた17歳の頃のムバッペとは体つきもなんとなく似ている。攻撃的ポジションならセンターフォワードからトップ下、サイドまでどこでもこなすが、サイドなら左側、というところも同じだ。

 “ジュニオール”というミドルネームから察せられるように、クルピの父はエリ・クルピ。レンヌでプロデビューし、ロリアンやナンシー、アンジェなどでもプレーした元ストライカーだ。コートジボワール代表歴も持つ。現在、44歳のクルピ・シニアは、ロリアンのアマチュアクラブで監督をしている(父が地元のアマチュアチームの監督、というところもムバッペと同じだ)。

16345日でデビュー、1792日で初ゴール、バカヨコもムバッペを思い出す

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Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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