サッカーを笑え #10
CLベスト4を決める戦いにスペイン勢3チーム、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーが参戦している。第1レグの翌週に第2レグがある日程だと非常にプレビューがやりやすい。第1レグで良かったことをやり、悪かったことをやらない、というシンプルなプランが通用するからだ。
マンチェスター・シティ対レアル・マドリー(第1レグ:3-3)
「(勝ち抜きには)このやり方しかない」、「同じ試合を繰り返したい。激しいプレス、たくさんのデュエルを仕掛ける試合だ」と、アンチェロッティ監督が第1レグ後に語っている。よって、マンチェスター・シティのボール支配VSレアル・マドリーのカウンターという構図はそのままで、勝負の分かれ目はどちらのクオリティが高いのか、となる。これ、毎回同じ構図なわけだが、第1レグではレアル・マドリーのそれが上回っていた。
『エル・パイス』紙が昨季CL準決勝のシティホームでの試合と今回の第1レグを比較して興味深いデータを紹介していた。それによると、レアル・マドリーのプレスの平均継続時間は昨季は110秒だったが、今回は169秒に増えていた。また、ヒートマップでは昨季に比べ今回の方がレアル・マドリー側から見てより前寄りになっていた。昨季ほど押し込まれず、敵陣でのプレー時間を稼いでいた。
つまり、レアル・マドリーによる激しいより前からのプレスが行われた結果、昨季は完敗(4‐0)だったが今回は互角(3‐3)という差になったというわけだ。
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。