サッカーを笑え #9
昨年8月20日の強制キス事件で失脚したスペインサッカー連盟の前会長に、降って湧いたもう1つのスキャンダル。1週間で事態が大きく動いた汚職疑惑の深層を続報する。
4月3日、ルイス・ルビアレス前連盟会長が逮捕された。
「汚職の認定にあたっては、スペイン連盟の本来の目的である公益を追求するものだったのか、それとも私益を追求するものだったのか、が争点になる」と、前回のこの連載で書いた。
だが、この見立ては甘かった。今ルビアレスにかかっているのは、私益も私益、連盟のお金が彼の懐に入った、という容疑だった。問われているのは、連盟のアクションの公益性ではなく、前連盟会長の私腹を肥やすアクションの方だったのだ。
前会長個人の暴走ではなく、連盟の側近たちも札束を懐に
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。