サッカーを笑え #6
開幕4カ月で3人が見舞われたレアル・マドリー勢をはじめ、ビッグネームの相次ぐ発生事例に、今季スペインでも議論を呼ぶことになった「前十字靭帯」の損傷。今回は『過密日程と強度向上による生存競争。ケガとともに生きる』特集と連動して、その興味深い最新事情をレポートする。
今季の「13人」は多いのか、少ないか?
昨年11月、代表戦でガビが右膝の前十字靭帯を損傷し涙を流して退場したシーンは、スペイン中にショックを与えた。連続先発させた酷使と、負傷したままプレーを続行させた采配で、デ・ラ・フエンテ代表監督に非難が集中した後、“前十字靭帯の損傷が増えている”式の記事を大量発生させることになった。今季のリーガエスパニョーラはダビド・シルバの引退に始まり、クルトワとミリトンの連続負傷と続き、今またガビも……というわけだ。
そうした無数の記事に登場した、大学の研究機関やUEFAの調査、医師など専門家の意見から信頼し得る、と筆者が判断したものをピックアップし、リーガの前十字靭帯事情をまとめてみたい。
まず前十字靭帯(以下、ACL)のケガは増えているのか?……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。