「投げるの?投げないの?」礼儀正しさと“ロングスローフェイント”でいきなりバズったルーキー石尾陸登。今度はプレーで世界にバレたい
ベガルタ・ピッチサイドリポート第11回
ベガルタ仙台には2024年シーズン開幕早々に図らずも“バズって”しまった大卒ルーキーがいる。ピッチサイドからロングスローを投げる際の礼儀正しさが注目を浴びた、仙台大学から加入したばかりの左サイドバック・石尾陸登がその人だ。では、本人は意外な形で多くのJリーグファンから知られることになった現状をどう感じているのだろうか。まさに機を見るに敏。村林いづみが早速話題のルーキーを直撃してくれた。
J2第2節、V・ファーレン長崎対ベガルタ仙台でのあるシーンが、Jリーグ公式Xでピックアップされ、瞬く間に拡散された。バズっていた。それはクラブにとっても“本人”にとってもまったくもって予想外の反響だったようだ。長崎戦翌日の練習でも、ピッチのあちこちでスタッフやチームメートに動画の件で声をかけられていた。逆サイドのSBを務める同僚の高田椋汰も、「俺も『すみません』って頭下げながら(ロングスロー)投げてみようかな」といじった。
「僕にとっては普通のことだったので……」。照れながら頭を掻く“本人”とは仙台のルーキーDF石尾陸登だ。SBもCBもこなす守備範囲の広さ。ロングスローでチャンスを演出する肩の強さ。そして、礼儀正しさ。たちまち世界にバレてしまった石尾選手に話を聞いてみたくなった。
サポーターも協力してくれた“あのシーン”の真相は?
――なんだかとても話題になっていますね。
「SNSを見てびっくりしていますよ(笑)」
――長崎戦の前半21分のシーンでしたね。あの時、何があったのですか?ロングスローを投げるつもりだったのですよね?
「はい。ロングスローをする予定でした。ピッチサイドの観客の方々がすごく近かったので、『すみません。ちょっといいですか?』と(助走のための)道を空けてもらったんです。でも、投げようとしたら相手選手がすぐ近くの(長澤)和輝君に全然マークについていなかったので、じゃあそこに出そうって。直前でロングスローをキャンセルしました(笑)」
――一連の流れで、誰もがロングスローだと思ったんですよ。
「いや、本当に投げるつもりだったんです」
――道を空けてもらう時の「礼儀正しさ」が話題になり、好感度も上がっています。両側のサポーターさんに6度も頭を下げています。
「さすがに、せっかく試合を見ているところを動いてスペースを空けて頂いたので……、言いますよね。『すみません!』って(笑)。礼儀は両親に厳しく言われました」
――ピッチに入る時、出る時のお辞儀もほぼ90度の深さです。あの時、タオルを拭くのに使ったタオルも、観客の方が畳んでおいてくれたとの情報がありますね。
「聞きました!本当にありがたいですね」
――Jリーグの公式Xで取り上げられた後の周りの反響はいかがでしたか?……
Profile
村林 いづみ
フリーアナウンサー、ライター。2007年よりスカパー!やDAZNでベガルタ仙台を中心に試合中継のピッチリポーターを務める。ベガルタ仙台の節目にはだいたいピッチサイドで涙ぐみ、祝杯と勝利のヒーローインタビューを何よりも楽しみに生きる。かつてスカパー!で好評を博した「ベガッ太さんとの夫婦漫才」をどこかで復活させたいと画策している。