新・戦術リストランテ VOL.6
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第6回は、リバプール対マンチェスター・シティというプレミアリーグの優勝争いを左右する大一番でMOMに輝いた遠藤航の「機能性」と「確かな目」について掘り下げる。
世界が「遠藤」を知った日
アーセナル、マンチェスター・シティ、リバプールの三つ巴の首位争いが熾烈なプレミアリーグ。第28節はリバプールとシティの直接対決がありました。
おそらく現在世界最高レベル同士の激突とあって注目されたであろうこの一戦で、“世界”は遠藤航を発見したことでしょう。
緊迫した展開、見どころしかない攻防、錚々たる顔ぶれが居並ぶこの試合で、遠藤はファンが選ぶMOMに選出されています。実際、攻守に渡る貢献度は素晴らしかったと思います。
23分にCKからシティが先制。デ・ブルイネがゴールラインぎりぎりの低いボールを蹴ると、そこへスルリと現れたストーンズがゲット。デザインされたCKですが、デ・ブルイネのキックの質がなければ不可能なアイディアですね。
その後ホームのリバプールは押し気味に試合を進め、後半早々の47分にヌニェスへのGKエデルソンのファウルでPKを獲得。マカリステルが決めて1-1としました。すると再びシティが盛り返して一進一退の攻防。そのまま1-1で引き分けとなり、漁夫の利を得たアーセナルが首位に出ています。
それにしても遠藤は見事でした。まあ、本人にしてみれば通常営業の範囲かもしれませんが、すっかりリバプールに馴染んでいました。……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。