REGULAR

「ツインシュート」の裏で…相模原・戸田監督が変える「『守る』と『奪う』」のイメージ

2024.02.29

相模原の流儀#1

2023シーズンにクラブ創設者の望月重良氏から株式会社ディー・エヌ・エーが運営を引き継ぎ、元日本代表MFで人気解説者の戸田和幸を指揮官に迎えたSC相模原。ピッチ内外で体制を一新しながらJ2復帰を目指す中、“緑の軍団”が貫く流儀に2021年から番記者を務める舞野隼大氏が迫っていく。

記念すべき連載初回では、「ツインシュート」が話題をさらったJ3開幕節から2024シーズンに取り組む課題を探る。

 戸田和幸監督体制の2年目が、幕を開けた。

 アウェイで迎えたギラヴァンツ北九州との開幕戦。結果は、“リアルツインシュート”で話題になっている綿引康(と藤沼拓夢)のゴールで1-0の好スタートを切ることに成功した。内容に目を向けると、準備してきたものを多く出せず、ゴール前での粘り強さでなんとか耐え凌いでの勝利となった。

 前からプレッシングをし、ボールを奪うことはできていた。その後、攻撃に転じた際にロストしてしまうことが多く、また相手に反撃の機会を渡してしまい、自陣ゴール前へと押し込まれていく。最終局面でシュートコースにDFが立ち塞がったり、体を投げ出してブロックをする粘り強さを見せたりすることはできたが、その後もボールを大事にできず、また攻撃を受けるということを繰り返してしまった。

 セットプレーからの一発で勝ったものの、なかなかフィニッシュに至れずシュート本数は前半0本、後半3本のみ。サガミスタからは「よく勝てた」「本当によかった……」という声であふれた。

本人も驚き。想定外で機転を利かせた西山の成長

 課題が多く出てしまった中でも、ポジティブな要素はあった。

 「相手は2ボランチを組んできて、どちらかは高めの位置取りをして、どちらか下がり目の立ち位置を取ってくるということは、練習から想定して取り組んできました」

 そう語るのは、この試合で[3-5-2]のアンカーを務めていた西山拓実だ。だが、「予想外」がピッチでは起こる。……

残り:2,429文字/全文:3,399文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。

RANKING