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アヤックス待望の『ピッチ上の監督』。ヘンダーソンがPSV戦で可視化した加入効果

2024.02.10

VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#1

エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。

footballista誌の創刊当初から続く人気連載のWEB移行初回は2023-24シーズン序盤戦の不振から一転、復調を遂げつつある名門アヤックスに電撃入団したジョーダン・ヘンダーソンの加入効果について。

復調を支える『リーグ最高ストライカー』と『冬の隠れ移籍』

 昨夏、1億1000万ユーロを費やしながら大失敗に終わった補強。“デ・クラシケル”でのサポーターのフーリガン騒動。10月末、エールディビジ最下位に沈み2部落ちの可能性が懸念されたこと――。世界のサッカーファンを驚かせた今季序盤戦のアヤックスだったが、11月にクラブOBのジョン・ファン・ト・シップが指揮を執り始めてから、リーグ戦では8勝3分と負け知らず。今は5位につけており、一時は絶望視されていた来季の欧州カップ戦出場のみならず、CL出場圏の3位も狙える勢いだ。

 やはり、このクラブはアカデミーが肝なのだろう。3月に18歳を迎えるCB兼左SBのジョレル・ハトは今季の公式戦全29試合にフル出場している。アイスランド人MFのクリスチャン・フリンソン(20歳)は前任のモーリス・スタイン監督に抜擢されると、不振を極めたチームで気を吐きレギュラーに定着。今季、6ゴール1アシストの好スタッツを記録している。

今季のアヤックスで最も出場機会を得ているハト(右)。写真はELグループステージ、ブライトン戦で

 今季のエールディビジはストライカーの当たり年。得点王ランキングにはAZのバンゲリス・パブリディス(20ゴール)、フェイエノールトのサンティアゴ・ヒメネス(19ゴール)、PSVのルーク・デ・ヨング(18ゴール)が名を連ねる。だが最近、13ゴールのブライアン・ブロビー(22歳)が「オランダリーグ最高のストライカー」として評価されている。

 バリエーションに富んだシュート、味方に絶好のチャンスをお膳立てするポストプレー、密着マークを苦にせぬパワー、敵の追随を許さぬスピードの四拍子のそろったブロビーが残す課題は、トラップの精度を上げるのみ。現在、リーグ歴代最多タイに並ぶ『12試合連続得点関与(ゴール/アシスト)』を記録し絶好調だ。

 そして、アヤックス伝統の『冬の隠れ移籍』は今年もあった。これまでジュスティン・クライファート、マタイス・デ・リフト、ユリエン・ティンバー、ケネット・テイラーたちがシーズン後半戦でトップチームに昇格しブレイクした。2024年に入るとトリスタン・ホーイヤーが右SBとしてチャンスをつかみ、攻守にハイレベルなプレーを披露している。

「90分間持つかわからない」懸念を乗り越え大一番でデビュー

 しかし、リーグ戦では復活をアピールするアヤックスだが、12月末のKNVBカップではアマチュアのヘルクレスに2-3で敗れてしまった。……

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Profile

中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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