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11年ぶりに果たされた古巣への帰還。圧倒的レイソル愛を抱く白井永地が目指すのは「強い柏の復活」

2024.01.31

太陽黄焔章 第8回

実に11年ぶりに白井永地が柏レイソルへ帰ってきた。U-18からトップチームへの昇格は叶わず、以降は水戸ホーリーホック、ファジアーノ岡山、徳島ヴォルティスで10年間に渡るプロキャリアを築き、とうとう愛する古巣からのオファーを勝ち獲ったというわけだ。「柏レイソルはタイトルを取らなければいけないチーム」という確信を持つ28歳が携えている今シーズンへの意気込みと自身が果たすべき使命を、鈴木潤が聞いた。

厚い選手層に阻まれたトップチームへの昇格

 「懐かしいし、ずっと着てきたユニフォームなので、しっくりきているかなと思います」

 チームの始動を翌日に控え、恒例の写真撮影の場に姿を現した白井永地は、11年ぶりに柏レイソルのユニフォームに袖を通した感想をそう語った。

 白井はU-15からU-18までの6年間を柏のアカデミーで過ごし、1学年上には中村航輔、同学年には中谷進之介、1学年下に中山雄太と、実力者揃うタレント多き時代の中で中核を務めた選手である。2012年の日本クラブユース選手権の優勝メンバーにして、同年の天皇杯2回戦では、トップチームとU-18の歴史的な兄弟対決にも出場した。

 しかし、残念ながらトップチームへの道は開かなかった。

 U-18からトップチームの昇格には、必ずタイミングという問題がつきまとう。それは、トップチームの競合するポジションの選手層が充実しているか、否か。

 選手層が不安視されていたなら、チーム側はU-18の若手を昇格させて育てるという方針を打ち立てるかもしれないが、逆に選手層が充実していれば昇格が見送られるケースは多々ある。当時の柏トップチームには、現コーチの栗澤僚一と大谷秀和をはじめ、茨田陽生、白井のアカデミーの1学年先輩にあたる秋野央樹と小林祐介など、ベテラン・中堅・若手のバランスが非常に良く、ボランチの選手層が充実していた時期だった。

ついに訪れたタイミング。愛するクラブから届いたオファー

 「いつかはレイソルに帰りたい」

 その思いを胸に秘め、2014年、白井は水戸ホーリーホックでプロとしてのキャリアをスタートさせた。以来、水戸、ファジアーノ岡山、徳島ヴォルティスと、3クラブを渡り歩き、10年の月日が流れた。

 白井がプロ10年目のシーズンを戦っていた昨年8月。徳島はベニャート・ラバイン監督の契約解除に伴い、後任監督に吉田達磨を招聘した。吉田は2003年から2009年まで柏のアカデミーコーチとして辣腕を発揮し、2015年には柏のトップチームの監督を務めた人物である。柏アカデミー出身の白井にとっては、馴染み深い指導者が、徳島の指揮官に就任したことになる。

徳島ヴォルティス時代の白井

 徳島で吉田監督と過ごした時間を、白井が振り返る。……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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