リバプールに訪れた試練の時…しらいむの心境は?
声優・白井悠介の「リバプール語り」第3話
試合はすべてリアルタイムで観戦し、自身のTwitterで実況も。熱狂的なリバプールファンの「しらいむ」こと声優・白井悠介が、そのあふれんばかりのリバプール愛を語り尽くす。
コロナもあって中断していた本連載、久々に再開! 中断していた2年の間にあったトピックを振り返っていただくとともに、チームが不調に陥っている2022-23シーズン、どのような気持ちで見ているのかを聞きました。
――最初に、連載と銘打っておきながら前回から時間が開いてしまいすみませんでした。コロナもあってお話聞けていなかった2年間、いろいろなことがありましたので、最初にそのあたりを振り返っていければと思います。
「わかりました」
――まず聞かなきゃいけないのが、白井さんが「最推し」と話されていたジョルジニオ・ワイナルドゥムの退団です。最後にお話を聞いた2年前、悲願のプレミア制覇直後の出来事でしたが、当時の心境はいかがでしたか?
「そりゃあもちろん悲しかったですよ。(2020-21)シーズン開幕直前まで(移籍するかどうか)もつれていて、そうですね……やっぱり残ってほしいと思っていたんですけど。出場機会という点ではコンスタントに出てましたし、チームとしても重要な役割というか欠かせない選手だったんですけど……金銭面とかいろいろあったんでしょうし、残念ですけどしょうがないですね。
でも、好きだった選手は移籍してもずっと好きですし、移籍した先でまた頑張ってほしいという気持ちで応援しています」
――白井さんはそういうタイプですか。選手の退団って、推しクラブがある人の中でも特に反応が分かれる印象があるんですが。
「裏切り者、みたいな?(笑)。僕はさすがにそこまでは思わないですけどね。ワイナルドゥムは今、パリ・サンジェルマンからレンタルでローマに行ってますけどケガしちゃって、W杯にも出られないんですよね……それがもう本当にかわいそうというか残念で。年齢(32歳)的にもたぶんラストチャンスだったでしょうし。今シーズンは至るところでケガが多発していて、(スケジュールが)過密過ぎるなと」
――リバプールの場合、戦い方のスタイル的にそういった部分の影響が大きいのかなという印象があります。
「そうなんですよね。かつてのゲーゲン(ゲーゲンプレッシング=ボールを失った直後に仕掛けて奪い返すプレスのこと)はどこにいったんだもうっていう感じですよね。もちろんプレスしてることはしてるんですけどなかなか……もちろん選手の年齢的なものだったりコンディションだったりもあるとは思いますけど、それにしても急失速だなと言わざるを得ないですよね今シーズンは。それこそ昨シーズンは、4冠(国内リーグ、CL、国内カップ、リーグカップ)に手が届くんじゃないかと言われるくらいいい成績で戦い抜いていただけに、今シーズンの出遅れは予想外でした。
最近のチームを見ていて思うのは、チアゴ(・アルカンタラ)の重要性がより浮き彫りになってるなって。なんて言うんでしょうか、“チアゴのチーム”になりつつあるというか、彼がいるといないとは本当にガラッと(チームが)変わってしまうんですよね。この間(取材時点の直近の試合)のリーグ戦のノッティンガム・フォレスト戦なんかはまさにチアゴがいなくて1-0で負けてますし。
もちろんチアゴだけではないと思うんですけど、彼の(ボールの)受け方もそうですし、いろんなところに顔を出してボールをさばいたり、ちょっとタメを作ったり、1、2人はがしていいところにボールを供給したりっていうクリエイティブなプレーが中盤でできる選手が、他になかなかいないなと。
加入した当初は、逆に彼が“浮いてた”と思うんですけど、今では依存し過ぎているんじゃないかと感じていて。もちろん、素晴らしい選手ではあるんですけど。今までのというか、それこそリーグ優勝したシーズン前後の、前から圧をかけていくスタイルが徐々に薄れてきているんじゃないかという感じがしています。
――他に、今シーズン不調の要因だと感じていることはありますか?
「僕は今シーズン、(サディオ・)マネが抜けた(バイエルンへ移籍)のは大きいんじゃないかと思っています。マネも(移籍して)ビックリしました。いや、(モハメド・)サラーは噂が出てたじゃないですか、出ていくんじゃないかって。そしたらサラーは契約延長して、マネがバイエルン行くの!?って。
左サイドは(ルイス・)ディアスが頑張ってくれて(ディオゴ・)ジョタもできますけど、やっぱりマネほどの運動量、献身性ってなかなかないのかなって。だって、マネはよく最後尾まで戻ってディフェンスしてましたからね。それと同じようにはなかなかできないでしょうし、ディアスにはディアスの、ジョタにはジョタの良さがありますし。ただ、2人ともケガで今いないんですけど。
リバプールに限らないですけど、今シーズンはどのリーグもどのクラブも、ケガとの戦いじゃないかと思っています」
――確かにそうですね。話が少し戻りますが、ワイナルドゥムしかりマネしかり、チームを離れた後も応援はしていると。
「もちろんです。(アダム・)ララーナとかも今でもやっぱり応援していますし」
――ララーナはちょっと玄人好みというか、好きな人はめちゃくちゃ好きな選手というイメージがあります。
「いや、好きですねぇ。クロップのサッカーを真っ先に体現してた1人だと思ってます。ケガがちだったのがもったいないなと」
――昨シーズン限りで退団したということで言うともう1人、南野拓実選手もそうです。連載の間隔が空いた期間と所属期間が重なる形になってしまったんですが、どのようにご覧になっていましたか?
「昨シーズンは彼がいなかったらカップ戦で優勝できてなかったんじゃないかという活躍をしてくれましたしね。やっぱり同じ日本人としてうれしいですし、尊敬します。最初は想像できなかったです、リバプールに日本人選手が来るってことが。以前香川選手がマンチェスターUに行ったり稲本選手がアーセナルに所属したりしたことはありましたけど、いざ自分が応援しているチームに同じ日本人がいるって考えたら、あらためてすごいことなんだなって思いました。
それから、南野選手が加入して彼のファンの方がリバプールを応援してくれたりして、クラブのファンが増えたんじゃないかなと感じました。
思い切りのいいプレーをしてくれて、角度のないところからでも積極的にシュートを打ってゴールも決めてくれて、リーグ戦でももっと見たかったなという想いはあります」
今シーズンのユニフォームは〇〇!
――ところで、大前提として箱推しだとは思うんですが、ワイナルドゥムに代わる“最推し”はいるんでしょうか?……
Profile
久保 佑一郎
1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。