翌日更新! カタールW杯注目試合レビュー
初戦でサウジアラビアに敗れ重圧にさらされたアルゼンチンだったが、この日はポーランドを圧倒。メッシのPK失敗も乗り越え、後半に2点を奪って首位通過を果たした。
PK獲得もメッシまさかの失敗
「私たちは記憶を取り戻した」
アルゼンチンのジャーナリスト、モレーナ・ベルトランの言葉がこの試合のすべてを集約していた。リオネル・エスカローニ監督のチームは、ポゼッションから終始ゴールを狙ってゲームの主役になるというアイデンティティを取り戻し、理想と呼べる形で貴重な勝利を収めてノックアウトステージ進出を決めた。
アルゼンチン代表の一行がポーランド戦の会場「スタジアム974」に着いた直後、エスカローニ監督に代わって大会公式メディアの質問に答えたアシスタントコーチのロベルト・アジャラは、試合のポイントとして「とにかく忍耐。根気強くボールを回してスペースを作ることだ」と語った。サウジアラビア戦で見せたような焦りは禁物。予想されるポーランドの堅固な守備を前に、冷静なパスワークを展開して主導権を握ることが必須条件だった。
アルゼンチンにとっては基本中の基本とも言うべきそのゲームモデルを実践するためにエスカローニ監督が選んだスターティングメンバーは、メキシコ戦のメンバーから4人が入れ替えられた。右SBにはナウエル・モリーナが戻り、中盤のアレクシス・マカリステルと、そのメキシコ戦で痛快な2点目をマークしたエンソ・フェルナンデス、そして前線のフリアン・アルバレスが初の先発入り。これまで不動のレギュラーと考えられていたラウタロ・マルティネスを外し、より高い推進力を持つアルバレスを右サイドに置くことで、左サイドのアンヘル・ディ・マリアに両SBからの攻め上がりを加えて総攻撃を仕掛ける作戦だ。……
Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。