『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド⑩「ブラジル」
World Cup 2022:GuardianExperts’ Network – Brazil Team Guide
英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。
The Brazil team guide was written by Renan Damasceno (https://twitter.com/renan_damasceno)
He writes for O Globo (https://www.oglobo.globo.com)
The plan|チーム状況
この10年間、多くのブラジルメディアで「ネイマール依存症」という言葉が使われてきた。とりわけ2014年W杯(ベスト4敗退)と2018年W杯(ベスト8敗退)の後は、この言葉をよく目にしたものだ。だが、新世代のストライカーが台頭してきた今、この言葉は過去のものになろうとしている。チッチ監督が率いるチームは、今では大勢の才能豊かな若手アタッカーを擁するチームになっている。
カタール大会開幕まで2カ月を切った10月、ブラジル代表指揮官は次のように語った。
「コパ・アメリカ2019の頃には、まだアントニーもラフィーニャもいませんでした。ビニ(ビニシウス・ジュニオール)はレアル・マドリーに馴染もうとしていた時期で、ガブリエウ・マルチネッリは代表のトレーニングに参加しているだけでした。ですが、時が経ち、今では彼ら新世代が代表チームの主役になろうとしています。うれしいことです! 私たちが5人のアタッカーを同時起用できるのは、彼ら新世代の台頭があったからなのです」
昨年の初めには、チッチ監督はまだラフィーニャのことを知らなかった。スカウトチームからの推薦で、当時リーズでプレーしていた彼を招集したのだが、今夏バルセロナ入りしたFWはカタール大会で先発出場することが予想されている。リシャーリソン(トッテナム)とルーカス・パケタ(ウェストハム)にとっても、今大会が初めてのW杯だ。誰を起用すべきか、指揮官は贅沢な悩みを抱えている。
チッチ監督はフレッシュな若手アタッカーを積極的に登用する一方で、守備陣は経験豊富なベテランで固めている。ゴールマウスには今大会が2度目のW杯となる30歳のアリソンが、最終ラインには38歳のCBチアゴ・シウバがいる。今大会中にチアゴ・シウバは、W杯に出場したブラジル代表のフィールドプレーヤーの最年長記録を作るかもしれない。中盤でアンカーを務める30歳のカゼミロは、代表では比較的遅咲きだったが、キャップ数はすでに60を超えているベテランだ。“カナリア軍団”にとっての彼の重要性は、軽視できないものになっている。2-1でベルギーに敗れた2018年W杯の準々決勝には、カゼミロは累積警告で出場していなかった。
ネイマールが今もチームのスターであることに変わりはない。だが、これまでと違い、今大会は彼1人がスポットライトを浴びる大会にはならないだろう。6つ目のW杯を狙うブラジル代表にとって、ネイマールの負担を軽減できるのは大きい。
The coach|監督
チッチ(Tite)
61歳|ブラジル国籍|2016年6月就任……