翌日更新! カタールW杯注目試合レビュー
メッシのPKで幸先よく先制したアルゼンチンだったが、その後はサウジアラビアのハイラインを崩せず、後半には立て続けに2点を失って予想外の逆転負けを喫した。
アルゼンチンが悲しみに沈んだ日
何が起きるかわからないのがサッカーの面白さであり、それがW杯ともなればサプライズが起きる可能性はさらに高まる。そんな「常識」を十二分に心得ていたとしても、今大会の開幕前、南米チャンピオンがFIFAランキング51位の国に初戦で敗れる番狂わせを予想していた人は一体どれだけいただろうか。しかもそれが、完璧なほどの戦略勝ちによる逆転劇になるとは。
少なくとも、ここアルゼンチンでは誰も予期していない展開だった。そして皆が示し合わせていたかのようにこの結果を「文字通り痛い敗戦」と呼び、リオネル・エスカローニ監督も試合後の会見で「今日は悲しい日」と呟いた。
サウジアラビアにとっての「歴史的快挙」は確かに、誇り高きアルゼンチンの人々を痛めつけ、悲しませるいくつかの「屈辱」をもたらした。W杯史において、アルゼンチンが前半リードで折り返しながら逆転されて勝利を逃すのは1930年の第1回大会以来のこと。アジアの国に負けたのも、リオネル・メッシがゴールを決めた試合で敗北を喫したのも初めてだ。また、リオネル・エスカローニ監督の指揮下においては、GKエミリアーノ・マルティネスとCBクリスティアン・ロメロ、ニコラス・オタメンディによる鉄壁トリオが結成されて以来初となる失点を――しかもわずか5分の間に2点も――許してしまった。……
Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。