『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド⑦「スペイン」
World Cup 2022:Guardian Experts’ Network – SpainTeam Guide
英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。
The Spain guide was written by Ladislao Moñino García (https://twitter.com/lafolhaseca)
He writes for El País (https://elpais.com/deportes/)
The plan|チーム状況
ルイス・エンリケ監督のスペイン代表にどうしても譲れないものがあるとしたら、それはプレースタイルと[4-3-3]システムだろう。選手の顔ぶれは変わっても、この2つは変わらない。ルイス・エンリケは、ただ単に最高の11人と最多得点数のストライカーを選ぶ監督ではない。自身のゲームプランを遂行するためにチームプレーに徹することができる選手だけを選ぶのだ。監督自身の言葉を紹介しよう。
「キックオフの笛が鳴った瞬間から、私たちは勝ちにいきます。相手チームがどんなプレーをするかは気にしません。私たちは自陣深くに構えるチームではなく、常に敵陣内でプレーしようとします。リスクを取ることも厭いません。相手にボールを奪われたら、できるだけ早く奪い返そうとします。メンバー入りできるのは、こうしたチーム戦術に対する理解度が高い選手だけです」
ここまでスペインは、このやり方でだいたいうまくいっている。昨年のEURO 2020では優勝したイタリアに準決勝でPK戦の末に敗れはしたが、ベスト4という結果は悪くなかった。W杯欧州予選ではスウェーデンに1敗しただけ(6勝1分1敗)で順調に本戦出場を決め、UEFAネーションズリーグではホームでスイスに1-2の敗戦を喫したものの、グループ首位(3勝2分1敗)で決勝ラウンド進出を果たしている。
ルイス・エンリケ監督は、相手に対してプレスをかけると同時に、攻撃陣から守備陣までスピードで圧倒するチームを作ってきた。敵に競り負けないスピードが求められるのはGKも同様だ。EURO 2020でのスペインのリスキーなプレースタイルについて聞かれた守護神のウナイ・シモンは『エル・パイス』紙にこう答えている。
「怖がることはありません。相手チームにキリアン・ムバッペ(フランス代表)やアレクサンデル・イサク(スウェーデン代表)のような足の速いストライカーがいれば裏を取られるリスクもありますが、このシステムでプレーすることで得られるものは、それ以上に大きいのです。フットボールでは、どんなスタイルでプレーしようと失点するリスクは常にあります」
2010年の南アフリカ大会以来、2度目のW杯優勝を狙うスペインだが、その上で問題となり得るのはハイライン戦術による失点のリスクと、コンスタントに点を取ることができるアタッカーの不在だろう。
The coach|監督
ルイス・エンリケ(Luis Enrique)
52歳|スペイン国籍|2018年7月就任……