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『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド⑥「ドイツ」

2022.11.19

World Cup 2022Guardian Experts’ Network – Germany Team Guide

英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。

The Germany team guide was written by Oliver Fritsch (https://twitter.com/olifritsch) and Tammo Blomberg (https://twitter.com/tblmbrg)

They write for Zeit online (https://www.zeit.de/sport/index)

The plan|チーム状況

 ドイツ代表は史上初めてと言ってもいい低迷期にある。戦後、ドイツ代表がW杯とEUROの国際大会において2大会連続で準々決勝に進出できなかったことはなかった。ところが、2018年W杯でグループステージ敗退という屈辱を味わうと、続くEURO2020ではラウンド16でイングランド代表に敗れた。ドイツ国民は大好きだった代表チームに興味を失い、ドイツサッカー連盟は「ザ・チーム」を意味する“Die Mannschaft”というスローガンの使用をやめた。

 「ザ・チーム」らしい戦いを再び見せてもらいたいものだ。タレントはそろっている。先発メンバーの多くはCL優勝経験者だ。有望な若手も出てきている。だが、ティモ・ベルナーを負傷で欠くことになった前線では「9番」としてプレーする選手がまだ決まっていない。カイ・ハベルツの起用が予想されるものの、彼はCFの後ろにポジションを取る方がプレーしやすそうだ。ハンジ・フリック監督がA代表初招集の17歳、ドルトムントのユスファ・ムココを含むW杯メンバーを発表したことには驚かされた。さらに現在フランクフルトでプレーするマリオ・ゲッツェも、5年ぶりの代表復帰でカタール行きの切符を手にしている。

 SBにも問題は多いが、最大の懸念は中盤だ。ヨシュア・キミッヒはボールの配球能力に優れた選手であるものの、1対1の競り合いに難がある。フィリップ・ラームは「守備タックルに取り組む」ようキミッヒにアドバイスしたが、マルクス・バッベルによると彼には「戦術的規律」が欠けている。サミ・ケディラに至っては「戦術的に成熟していない」と述べている。そのため、フリック監督が中盤の構成をどうするのか([4-3-3]にするのか[4-2-3-1]にするのか)が大きな疑問となっている。

 マンチェスター・シティのキャプテン、イルカイ・ギュンドアンには先発出場が確約されているわけではない。敵地ウェンブリー・スタジアムで3-3のドローに終わった9月のUEFAネーションズリーグ、イングランド戦で見て取れたように、ギュンドアンはキミッヒとプレースタイルが似過ぎているのだ。準備期間が短いのも問題となるだろう。「トーナメント・チーム」と言われるドイツ代表が軌道に乗るまでには、少し時間がかかるのが常だ。

 課題は山積しているが、最低限の目標は準決勝進出である。ドイツ最大の強みは、国際大会での経験が豊富にあることと、ゴールに貢献できる選手が多いことだ。ハベルツ、セルジュ・ニャブリ、レロイ・サネ、そしてもちろん、トーマス・ミュラー。中盤にはレオン・ゴレツカという得点力のあるMFもいる。ローター・マテウスやミヒャエル・バラックの後継者と目される選手だ。ゴールマウスは36歳になっても世界最高GKの1人であり続けているマヌエル・ノイアーが守っている。

The coach|監督

ハンジ・フリック(Hansi Flick)
57歳|ドイツ国籍|2021年8月就任……

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