『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド⑤「アルゼンチン」
World Cup 2022:Guardian Experts’ Network – Argentina Team Guide
英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。
The Argentina team guide was written by Vanesa Valenti (https://twitter.com/vanevalenti)
She writes for La Nacion (https://www.lanacion.com.ar/)
The plan|チーム状況
アルゼンチンにとって、今大会は初めて平穏に迎えられるW杯だ。アルゼンチン国民はみな興奮しているが、同時に落ち着いている。今大会に臨むチームの最大の強みは、全員が一致団結していること。この4年間で、アルゼンチンは個々の選手が互いのためにハードワークするチームへと進化してきた。全選手が自身の役割を自覚している今のチームは、精巧な機械のように機能するチームになっている。
このチームのサイクルが始まったのは、ロシア大会でベスト16敗退と惨敗し、ピッチ内外のトラブルが続いてホルヘ・サンパリオ前監督が解任された2018年末だった。当時、代表チームでアシスタントコーチを務めていたリオネル・エスカローニが暫定監督に就任。現役時代はデポルティーボやラツィオでプレーしたエスカローニは、パブロ・アイマールをアシスタントコーチに抜擢すると、チームを前進させ続けた。2019年末には正式監督に就任し、チームを3位に導くことになるコパ・アメリカ2019、その2年後のコパ・アメリカ2021、そしてカタールでの今大会まで指揮を執る契約を結んだ。エスカローニ監督就任当初、選手たちはどうプレーしたら良いかわからず混乱しているように見えることもあったが、チームは次第に機能し始めるようになった。
エスカローニ監督はキャリアの終わりに近づいている選手をチームから外した。そして結束力のある強いチームを作ると、ここまで35試合連続無敗。ロベルト・マンチーニ監督率いるイタリア代表が2018年から2021年に打ち立てた37試合連続無敗記録まであと2試合に迫っている。今ではエスカローニ監督に対する批判はまったく聞こえてこない。
コパ・アメリカ2021では、マラカナンで行われた決勝でホスト国ブラジルを1-0で下し、アルゼンチンに28年ぶりの優勝トロフィーをもたらした。今年6月にウェンブリーで行われた「フィナリッシマ」では、南米王者アルゼンチンは欧州王者イタリアと対戦。終始試合を支配し、イタリアを圧倒するパフォーマンスで3-0と完勝した。
ベテランと若手の混成チームとなっているアルゼンチン代表の中心は、言うまでもなくリオネル・メッシだ。カタール大会での優勝は、全国民の夢であると同時に、“ラ・プルガ”(メッシの愛称)自身の夢だ。メッシから多くを与えてもらったアルゼンチンのフットボールは、W杯のトロフィーでその恩に報いるべきだと国民の多くは考えている。
The coach|監督
リオネル・エスカローニ(Lionel Scaloni)
44歳|アルゼンチン国籍|2018年8月就任……