『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド④「ベルギー」
World Cup 2022:Guardian Experts’ Network – BelgiumTeam Guide
英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。
The Belgium team guide was written by Kristof Terreur (https://twitter.com/HLNinEngeland)
He writes for HLN (https://www.hln.be/sport/)
The plan|チーム状況
ロベルト・マルティネス監督は、6年前に導入した[3-4-3]システムを今も変わらず使い続けている。だが、6年の間に選手の顔ぶれは変わり、もはやバンサン・コンパニもトーマス・フェルマーレンもいない(フェルマーレンはアシスタントコーチとしてチームに帯同している)。9月にUEFAネーションズリーグでウェールズやオランダと対戦した時の3バックは、全員ベルギー・ジュピラー・プロリーグでプレーする選手だった。カタールのアル・ドゥハイルでプレーしていたトビー・アルデルワイレルトは、現在はロイヤル・アントワープで、ベンフィカでプレーしていたヤン・フェルトンゲンは、現在はアンデルレヒトでプレーしている。2人のベテランと3バックを組むのは9月に代表デビューを果たした19歳のゼノ・デバスト。問題は、アルデルワイレルトとフェルトンゲンのパフォーマンスが2、3年前にトッテナムでプレーしていた頃のレベルにはないことだ。
ベルギーは、4カ月の間にオランダに2度の敗戦を喫した。最大の問題は、バタバタする守備。ティボ・クルトワ1人の力ですべての攻撃を止めることはできない。CBの層も薄い。控えの1番手はジェイソン・デナイヤーだが、夏に受けたオファーをすべて断ったためドバイのクラブと契約した10月まで無所属で、数カ月間個人練習しかしていなかった。
攻撃陣も万全ではない。チェルシーで不本意なシーズンを送ったロメル・ルカクは今季インテルに戻ったものの、シーズン序盤に負傷に見舞われ復帰したのは10月になってから。レアル・マドリーに移籍してから3年間にわたってたび重なるケガに悩まされたエデン・アザールは、ようやくケガが癒えた今季、思うように出場機会を得られていない。
アザールをキャプテンに任命したマルティネス監督は、次のように述べている。「アザールは今もベルギーにとって重要な選手だ。問題は、90分間プレーできるかどうか、そして、短期間に7試合に出場できるコンディションであるかどうか。この2、3年間、エデンはコンスタントに高レベルのプレーを見せることができていなかったが、最後の代表ウィークには良いパフォーマンスを披露した」
たとえ90分間プレーできないとしても、アザールこそがマルティネス監督のファーストチョイスであることに、スーパーサブとしての活躍が期待されるレアンドロ・トロサールも異論はないだろう。アザールの活躍が期待できないようだと、ベルギーはクルトワとケビン・デ・ブルイネという2人のワールドクラスの選手に大きく依存することになってしまう。
The coach|監督
ロベルト・マルティネス(Roberto Martínez)
49歳|スペイン国籍|2016年8月就任……