『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド①「イングランド」
World Cup 2022:Guardian Experts’ Network – England Team Guide
英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballistaは2018年W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。
The England team guide was written by Jacob Steinberg (https://twitter.com/JacobSteinberg)
He writes for the Guardian (https://www.theguardian.com/football)
The plan|チーム状況
ギャレス・サウスゲイトのイングランド代表がW杯で優勝できるとしたら、今大会だ。現在52歳の監督の下、スリー・ライオンズは前回大会で準決勝に進出し(4位)、昨年のEURO2020では決勝でPK戦の末に惜しくもイタリアに敗れたものの準優勝を果たした。この2大会での結果をポジティブにとらえれば、「すべてがうまく回れば」という条件はつくが、今大会で優勝することは不可能ではないだろう。ここ最近は調子を落としているとはいえ、このチームがタレント軍団であるのは間違いない。クリエイティブな選手も多く、中盤にはデクラン・ライスとジュード・ベリンガムという国内最高の若手MFがいる。ハリー・ケインは世界最高のストライカーの1人だ。
にもかかわらず、サイクルの終わりが近づいているという終末感が漂っていることも否めない。今年に入ってから問題が増えている。6月と9月に行われたUEFAネーションズリーグでは1勝もできず(3分3敗)、CBのハリー・マグワイアは不調から抜け出せていない。右サイドの守備の安定に必要なリース・ジェイムズとカイル・ウォーカーのケガは、新たな頭痛の種だ。サウスゲイトの契約は2024年末までだが、カタールW杯の結果次第でチームを去ることもあるだろう。「今大会の結果で評価されることはわかっています。契約期間内であれば解任されることはないとも思っていません」と本人も語っている。
「運命の時」が近づいていることをサウスゲイトは理解している。イングランドは攻撃的に戦うことを求められているチームだ。臆病な戦い方をすれば、ファンの怒りに触れるだろう。だが、諦めるのはまだ早い。ドイツと3-3の引き分けに終わった試合(9月26日)では希望の光が見えていたし、W杯の同組で対戦するのがイラン、アメリカ、ウェールズであることを考えれば、比較的楽にグループステージを突破することができるはずだ。サウスゲイトはトーナメント戦の戦い方を知っていることをすでに証明している。追い風が吹けば、イングランドが優勝する可能性はあるだろう。
The coach|監督
ギャレス・サウスゲイト(Gareth Southgate)
52歳|イングランド国籍|2016年9月就任……