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新クラブハウスに保育園を併設。 ドイツの街クラブはどのように資金をねん出しているのか?

2021.10.31

中野吉之伴の「育成・新スタンダード」第15回

ドイツで15年以上にわたり指導者として現場に立ち続け、帰国時には日本各地で講演会やクリニックを精力的に開催しその知見を還元。ドイツと日本、それぞれの育成現場に精通する中野吉之伴さんが、育成に関する様々なテーマについて提言する。

第15回は、ドイツの街クラブではいったいどのように運営されているのか。経営的な面について明かす。

 当たり前のことだけど、アマチュアクラブに資金はたいしてない。僕がU-12監督として所属しているフライブルガーFCにしてもそうだ。小さな街・村クラブと比べたらスポンサーや年会費による収入はある。でもそれらは必要経費で消えていくし、指導者に支払われる給与は微々たるもの。基本的に僕らはボランティアとして携わっているし、そうした関わり合いの中でやっていくことを前提に、メカニズムは整えられている。

 そんな我がフライブルガーFCで先日クラブ総会が行われたのだが、その席で新しいプロジェクト着工の決議がされた。それが《新クラブハウスと保育園の新設》。

 資金を持っていないクラブがどうやってそんな大それたプロジェクトをスタートできるというんだ?

 そんな疑問が浮かび上がってくるだろう。今回はドイツのアマチュアクラブがどのように資金をねん出するのか、についてお話ししたいと思う。……

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Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。

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