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子供たちが、自分で考えて移籍する環境での大人の役割とは――ドイツ育成年代の“移籍”との向き合い方

2021.06.17

中野吉之伴の「育成・新スタンダード」第13回

ドイツで15年以上にわたり指導者として現場に立ち続け、帰国時には日本各地で講演会やクリニックを精力的に開催しその知見を還元。ドイツと日本、それぞれの育成現場に精通する中野吉之伴さんが、育成に関する様々なテーマについて提言する。

第13回は、決断が理解されずわだかまりを生むケースもある育成年代選手の移籍について。ドイツの子供たちの移籍に対する考え方やクラブ・指導者に求められる移籍との向き合い方を、実情を踏まえてお伝えする。

 移籍って何のためにするんだろう?

 今回はジュニア期における移籍について、僕が暮らすドイツの例を参考に考察してみたいと思う。

 ドイツでは、ジュニア期における移籍は頻繁だとよく言われている。とはいえ、やぶれかぶれにどんどんクラブを変える子はいない。みんなちゃんと自分なりに、自分がどうしたいかを考えた上で行動をする。僕の周囲を見ていても、自分で考えたうえでプレーするクラブを決めたり、どこのどんなクラブでプレーすべきかを考えている子供が少なくないとわかる事例はいくつもある。……

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Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。

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