REGULAR

風間八宏が見た徳島のパスサッカー。西谷と渡井のコンビプレーを分析

2021.03.01

風間八宏の真・ユニット論  第10回

「ボールをトラップしたのに“止まっていない”」「止める、外すの目をそろえる」など独自の技術論を突き詰めた指導者として、日本で唯一無二の存在となっている風間八宏。彼の技術論は個人で完結しているわけではなく、人と人の意思の疎通や駆け引きがベースになっている。個人の技術解説でもなく、チームの戦術解説でもない、数人の集団で構成されるユニットの動きは、サッカー解説の盲点になっているのではないか――名手たちの隠れた凄みを、“局面を切り取る達人”が斬る!

第10回は、2020年シーズンの明治安田生命J2リーグを制し、7年ぶりのJ1の舞台に挑む徳島ヴォルティスを牽引した2人にフォーカス。今季から浦和レッズを率いるリカルド・ロドリゲスが熟成させたショートパス主体の攻撃サッカーの中で輝いた西谷和希と渡井理己が見せたコンビネーションプレーを掘り下げる。

Pick up MATCH
2020.08.29
Matsumoto Yamaga 3-1 Tokushima Vortis|15|J2 LEAGUE
9′ Masaki Watai

左サイドを駆け上がる西谷からボールを預かった渡井。巧みなコントロールでDFの逆を突くと、一瞬の隙を見逃さずシュートに持ち込み、先制点を流し込んだ(0:20~)

「何をされるかわからない」西谷のドリブル

 左サイドからゴール前に入ってくる西谷選手のドリブルを見ると最初はボールが少し足から離れているのですが、トップスピードになった時の置き場所は非常に良くて、“いつでもパスが出せる”、“いつでも相手を外せる”位置にボールを置いています。自分と距離が近いところにボールを置いているから、対峙しているDFはいつボールが出てくるかを測れない。どのタイミングで何でもできる状態だったから、相手も飛び込めませんでした。……

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Profile

竹中 玲央奈

“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。

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