UEFAチャンピオンズリーグのディナモ・キエフvsユベントスでは、久しぶりに応援風景が見られた。欧州カップ戦についてはスタジアムのキャパシティの30%まで観客を入れることをUEFAが許可しているからだ。
2部B以下では有観客も
もっとも、感染状況は国によって違うため、最終決定権は各国政府に与えられている。スペインの場合は累積感染者数が100万人の大台を超え(人口4700万人)、日々1万5000人程度の新規感染者が出ていて、全土での夜間外出禁止や非常事態宣言の再発出が真剣に検討されている状況だから、みなさんご覧の通り、レアル・マドリーとバルセロナのホームゲームは無観客で行われた。
政府はすでに今年中は無観客で開催する意向をUEFAに通達済み。ただ、感染対策の権限は自治州政府にもあるため、バルセロナはCL第1節のフェレンツバーロシュ戦の有観客開催をカタルーニャ州政府に掛け合ったものの、結局拒否された。
だが、実はこんな状況でも、2部Bや3部リーグでは観客を入れて試合が行われているのだ。
先週末のデポルティーボvsサラマンカは3000人の観客がスタンドを埋めた。リアソルスタジアムのキャパシティは3万2000人だから、約10%の入りだったわけだ。
一方、同じラ・コルーニャ地方で前日行われたセルタvsアトレティコ・マドリーは無観客だった。この差は、プロリーグ(1部と2部A)が国の管轄なのに対し、アマチュアリーグ(2部B以下)の管轄が自治州であることによる。
有観客開催は可能か
プロサッカーのようなビッグイベントは別にして、日常生活のレベルでは、例えば映画館や劇場では現在、キャパシティの50%で営業されている。
マスク着用や座席間の距離をあける、検温、消毒などの一定の条件を満たせば、屋外のスタジアムの一部座席に客を入れることはリスクが小さいという理屈も成り立つ。
ただ、数万人が集まれば、スタジアムは安全であっても公共交通機関(バスや地下鉄)が密になる可能性は高い。よって、収容率の制限だけでなく、総数の制限も必要だろう。
スタジアムへのアクセスにもよるが、1万人以下であれば入場や退出に時間差をつければ、感染対策と矛盾しない形での開催は可能ではないか(もっとも、感染予防だけを考えれば無観客がベストなのだが……)。
10月22日の『SPORT』紙の報道によれば、バルセロナはCLユベントス戦(12月8日)の有観客開催を自治州政府に打診したようだ。まだ1カ月以上先のことで、感染状況はさらに悪化している可能性の方が高いが、成り行きを見守っていきたい。
Photo: Getty Images
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。