ラ・リーガの「22クラブ維持説」と、連盟の「24クラブ説、23クラブ説」が正当性を争っていた来季の2部リーグについて、スポーツ高等委員会(CSD)が最終決定を下し、ラ・リーガの22クラブ説が採用されることになった。
これにより、最終順位表通りにデポルティーボ、ヌマンシア、エクストレマドゥーラ、ラシンが降格することが決まった。
不公平はないと結論
デポルティーボとヌマンシアは今後、一般法廷での争いを継続することを宣言しており、それによって両者の降格が妥当とされない可能性もゼロではないが、判決時にはシーズン開幕数カ月が経過しているはずで、その場合でも両者への損害賠償金の支払いで一件落着となる見込みだ。
ラ・リーガと連盟が合意に達しない時には、政府機関であるCSDが仲介に入って判断する仕組みになっており、上告の道はない。つまり、これでスポーツ的には最終判断というわけだ。
デポルティーボとヌマンシアは最終節の結果で19位、20位となった。が、既報の通りデポルティーボ対フェンラブラーダが後者の感染者発生により延期。
戦わずして降格したデポルティーボはもちろん、ヌマンシアも「一斉開催でなかったことで不公平が生じた」と訴え、その声に応える形で連盟が、降格チームなしの24チーム説、衛生管理を怠ったとしてフェンラブラーダを強制降格させデポルティーボとヌマンシアを救済する23チーム説を唱えていた。
一方、一斉開催でなくてもコンペティション上の不公平はなかった、フェンラブラーダの衛生管理違反もなかったとして、通常通りの下位4チーム降格を唱えていたのがラ・リーガだった。
質の高い柴崎は引く手あまたか
今回の決定により、大きく影響を受けるのがデポルティーボに所属している柴崎岳の去就だ。現在、彼はプレシーズンの練習に参加しているが、来季は2部B(3部相当)となれば移籍もあるだろう。移籍希望であれば、名前が出ているラス・パルマス以外でも引く手はあまただ、と見る。
降格に終わったチームで、監督交代で戦術が180度変わり、巻き返しのためにどんな戦い方でも採用しなければいけなかったチームで、選手間の内紛があったチームで、柴崎はカウンターサッカーのボール奪取後の次の受け手(カウンターの起点のトップ下)としても、ポゼッションサッカーの2ボランチとしても、[4-2-3-1]や[4-4-2]や[3-5-2]の左右のインサイドMFとしても対応できていた。
テクニックの水準とそれの使いどころを知る戦術理解力の高さは、右往左往した降格チームだからこそ際立った、と言えるのだ。
2部の上位候補だけでなく1部の残留争いチームからもオファーが届くのではないか。1部であればウエスカやエルチェ、アラベス、エイバルあたりは、中盤のクオリティを単独で上げられる柴崎は喉から手が出るほど欲しいはずだ。
Photo: Getty Images
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。