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怒りの退団示唆から一転、インテルがコンテ監督の続投を発表

2020.08.27

 インテルは8月25日、アントニオ・コンテ監督の続投を発表した。クラブ首脳陣との亀裂が表面化し退団の可能性も示唆されていたが、一転残留となった。

当初は退団濃厚だったが……

 コンテ監督は22日のUEFAヨーロッパリーグ決勝セビージャ戦後、「すべてに渡って限界がある。今後向上していきたいのならば良い。さもなければ、私がどうすると考えているかはみなさんご存知だろう」と、クラブに改善の意思があるかどうかを迫った。

 そして「ミラノに入って2、3日休暇を取り、その後で1年間の分析をして、将来をどうするか我われは検討する。その将来に自分がいるか、またいないかだ」と語り、退団の可能性があることも示唆した。

 チームの強化を進めなかったクラブを折に触れて批判しており、8月2日のリーグ戦終了時にも「自分はクラブから守られていない」と発言していた。

 それを受けて地元紙では退団が既定路線とされ、後任にはマッシミリアーノ・アッレグリ氏の就任か、仮にコンテ監督の残留が決まった場合でもピエロ・アウジリオSD、あるいはジュゼッペ・マロッタCEOいずれかのクビが飛ぶことになるのでは、とも噂されていた。

 しかし、結論は体制維持。25日にはミラノ近郊のソンマ・ロンバルドでコンテ監督にスティーブン・チャン会長、マロッタCEOにアウジリオSDらを交えたトップ会談が行われ、監督の続投が決定した。

「会談は建設的なもの」

 クラブからは公式声明が出され、「クラブとアントニオ・コンテとの会談は建設的なもので、戦略の続行と共有が確認された。プロジェクトをともに進めるための基盤が築かれた」と体制の維持が発表された。つまりマロッタCEO、およびアウジリオSDといったクラブ幹部も残留が決まったことになる。

 この決断に至った背景について、26日までに様々な報道が出された。

 衛星放送『スカイ・イタリア』は「経営陣では『うまくいっているのになぜ体制を変えるなどという話になるのか』という疑問が上がり、チャン会長が関係の修復に動いたと考えられる」と報じ、25日の会談に至るまで、会長とコンテ監督が水面下で何度も連絡を取っていたとした。

 『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「話し合いの中で互いが意思をはっきりとさせ、特にコンテ監督は『クラブの目標についての声明が好ましいものではなかった』と説明をして理解を得た」と報じた。

 一方『コリエレ・デッロ・スポルト』は「やむを得ず一緒になった」と報じ、「年俸が高額なコンテ監督を解任した場合に生ずる経営リスク、またプレシーズンが短く新監督の下で準備をさせる時間がないことなどを考え、ライバルのユベントスが新監督就任に踏み切っているなら同様のリスクを冒す必要はない、という思考が働いた」と報じた。


Photo: Getty Images

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アントニオ・コンテインテルマロッタ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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