紆余曲折の末、結局4大リーグの中で一番遅い6月20日からの再開を果たしたセリエA。だが、各チームとも無視できない問題に直面している。故障者の多さだ。
アタランタもインテルもユベントスも…
アタランタは6月21日にサッスオーロを4-1で下したが、この試合ではヨシップ・イリチッチの起用を諦めざるを得なかった。試合前に右足首を打撲したため、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は大事をとって休ませる決断を下した。そして、24日のラツィオ戦でも先発は難しい状況となっている。
インテルではブロゾビッチとセンシが筋肉系の故障。それぞれ回復にはしばらくかかると見られており、優勝争いに臨む上では厳しい状況となっている。
そのインテルと21日に対戦したサンプドリアでは、エースストライカーのファビオ・クアリアレッラがふくらはぎの筋肉を痛めて欠場。新型コロナウイルス感染者を多く出しており、他にも試合の起用を見送った選手が数人いる。
クラウディオ・ラニエリ監督は地元メディアに対して「ウイルス感染者はコンディションの回復に時間がかかっており、1週間に2試合のペースでは起用できない」と語っている。
故障者は他のクラブにも及んでいる。ユベントスではアレックス・サンドロがコッパ・イタリア決勝で膝を痛め、検査の結果、側副靭帯の損傷が発覚。そして22日のボローニャ戦では、マッティア・デ・シーリオが試合中にハムストリングの筋肉を痛めて途中交代を余儀なくされた。他にもサミ・ケディラが靭帯の故障で今季絶望、ゴンザロ・イグアインも筋肉系の故障を抱えて試合のメンバーから外れている。
一方のボローニャも、フェデリコ・サンタンデールにアンドレアス・スコフ・オルセンがそろって筋肉系の故障を起こし、7月中旬までの欠場が決定。ただでさえ選手層の薄いチームにとっては大問題で、ユベントス戦では終盤にプリマベーラの選手を2名出さざるを得なくなった。
練習不足や練習方法の変更が要因か
中でも非常に厳しい状況に陥っているのはレッチェだ。22日のミラン戦を前に主力4人が故障欠場。そしてコンディションが良くない中、無理を押して出場したジャンルカ・ラパドゥーラも、試合中に負傷交代を余儀なくされた。その結果、チームは1-4での大敗である。故障者続出の要因を、ファビオ・リベラーニ監督は中断期間に求めた。
「選手たちがソファの上で長く過ごしていたからだ。ロックダウン前のコンディションを保てていなかった。仕方のないことだが、やっぱり恐怖から何のトレーニングもしてこなかった人間がいる」
『ラ・レプッブリカ』紙によれば、練習解禁からここまでの故障者の総数は33人に及び、そのうち21件が筋肉系のトラブルに由来した問題だという。
故障者の急増はブンデスリーガでも同様に報告されている。同紙はスポーツ医の見解として「通常の新シーズン開幕時よりも多い。急激なストップやターンに筋肉が耐えられなくなった系統のものが多く、(ソーシャルディスタンス確保の必要上)練習方法が変わったことも影響しているのではないか」と報じている。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。