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各国のリーグ戦がストップする中、eスポーツのトーナメント開催決定!

2020.03.24

文 田島 大

 新型コロナウイルスの影響によって休止状態にある欧州フットボール界で、新たなサッカーの大会が開幕する。それが3月22日(日)に幕を開ける「Ultimate Quaran-Team」だ。

世界中から128クラブが出場

 イングランドのフットボールは少なくとも4月30日まで休止となっており、サッカーファンは大好きなチームの試合を見られずに気を落としていることだろう。そして下部リーグの中には、試合を開催できずに収入を断たれて存続の危機に瀕するクラブさえある。そんな事態を受け、4部リーグに所属するレイトン・オリエントが立ち上がった。こんな時だからこそ、新たな大会を開こうというのだ。

 もちろん普通に試合をすることはできない。そこで『eスポーツ』で勝負しようと言い出した。人気ゲーム『FIFA 20』の大会を開き、ファンたちに寄付を呼びかけるという。集まった寄付金の75%は下部リーグに、残りの25%はWHOなどの団体に献金されるそうだ。

 SNSなどを通じで他クラブに参戦を求めると、多くのチームがこの案に賛同。当初は64チームによるトーナメントを考えていたが、気づけば倍の128クラブも出場することになった。

 プレミアリーグからはマンチェスター・シティを始め、ニューカッスル、ウェストハム、ウォルバーハンプトンなど10チーム以上が出場する。もちろんイングランド下部リーグのチームも参加するし、スコットランドのマザウェルなども参戦する。

 それだけにとどまらず、オランダからは名門アヤックス、フェイエノールト、PSVなど16クラブが参加。イタリアからはローマとフィオレンティーナ、ポルトガルからはベンフィカ、フランスからはマルセイユなど、名だたるクラブも出場する。さらに欧州だけでなく、アメリカやオーストラリアのクラブ、さらには南アフリカのオーランド・パイレーツまで参戦する世界規模の大会となった。

元代表選手も参戦を表明

 興味深いのは実際にゲームをプレーする出場選手だ。原則はクラブに所属するプロ選手、もしくはファンに出場権があり、マンチェスターCやアヤックスなど『eスポーツ』のチームを抱えるクラブは手練れのゲーマーが出場するようだ。

 一方で、クリスタルパレスからはイングランド代表経験を持つMFアンドロス・タウンゼントが出場に名乗りを上げた。するとノリッチのU-21イングランド代表MFトッド・カントエル、ブライトンのFWニール モペイといった実際の選手が続々と参戦を表明した。

 そんな中、イングランド2部のシェフィールド・ウェンズデーは、ツイッターで「緊急の補強に乗り出した」と発表し、プロのゲーマーであるDelee選手を出場させることになったという。

ブックメーカーが賭けの対象に

 この大会には英国ブックメーカーも注目しており、オッズを付けて普通の試合と同じように賭けの対象にしている。優勝候補の筆頭は『eスポーツ』のチームを有するマンチェスターCやローマだが、大型補強に成功したシェフィールドも上位に名を連ねている。

 主催者のレイトン・オリエントによると、この大会は一発勝負のトーナメント制で、参加選手はゲーム内で自分のクラブを使用するそうだ。3月17日(火)には1回戦の抽選会が行われ、優勝候補のシティはホームでKVコルトレイク(ベルギー1部)と、ローマは敵地でウォルソール(イングランド4部)と対戦することが決まった。

 タウンゼントが出場予定のパレスはレディング(イングランド2部)と、カントウェルのノリッチはフリートウッド・タウン(イングランド3部)とぶつかる。そして発起人のレイトン・オリエントは、ロシアのロコモティフ・モスクワと対戦する。

 1回戦は英国時間の3月22日(日)夜に開催される。試合の模様は各クラブがSNSやゲームストリーミングサイトを使って中継するそうだ。本物のカップ戦のようにホームチームとアウェーチームに分かれている。オンライン対戦なのであまり関係なさそうだが、果たして……?


Photo: Getty Images

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eスポーツコロナウイルストーナメントブックメーカー元代表

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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