この冬、RBライプツィヒ最大の補強の1人となった左サイドバックのアンヘリーニョ。マンチェスター・シティから期限付き移籍でやって来た23歳の若手左SBは、圧巻の運動量と攻撃力を武器に左サイドの定位置を確保した。
ライプツィヒ監督のユリアン・ナーゲルスマンとマンチェスターC監督のペップ・グアルディオラの交友関係は、世界中のメディアによって伝えられている。試合中のワンシーンの映像を見ながら、スマートフォンを通じて定期的に意見交換し合うこともナーゲルスマンは明かしている。アンヘリーニョの移籍も、ペップの推薦によって決まったものだ。
この2人の下でプレーをしているアンヘリーニョは、3月4日付の『シュポルト・ビルト』内で、ドイツ人のナーゲルスマンとスペイン人(あるいはカタルーニャ人)のペップのそれぞれについて比較した。
優れた監督に年齢は関係ない
「僕にとっては、監督の存在が(チームの行き先を決める時に)カギを握る」と話すアンヘリーニョ。今回の移籍についても「長年に渡ってチームの一員であると錯覚してしまうほどの扱いをしてくれたこと」が決定の要因だったと語る。
優れた指揮官で、ボールを支配し、攻撃的なサッカーを志向している点を両監督の共通点に挙げた。その上で「ユリアン(ナーゲルスマン)はペップよりも若いが、年齢は関係ないと思う。彼は、僕ら選手に何を求めるべきなのかをはっきり理解している。年齢を重ねた経験豊富な監督のようにね」と選手から見た印象を述べた。
ビデオを見て実感するペップのトレーニング効果
ペップ・グアルディオラの下で6カ月間トレーニングを積んだアンヘリーニョだが、その時はペップのトレーニングによって自分のどの部分が成長したのか、実感がなかったという。
「自分のどこが良くなったのか、すぐには理解できなかったんだ。でも、ライプツィヒに来て自分のプレーを映像で見るようになって分かったよ。ピッチ上で置かれた状況に、ずっと素早く対応できるようになった。しかも、頻繁にその状況下での最善の判断を下せるようになったんだ。どうやったらそうなるのか、僕には説明できない。本当に自動的に、勝手にそうなるんだから」
選手から見たナーゲルスマンのトレーニング効果
ナーゲルスマンのトレーニングにも似たような効果があるという。「ユリアンのトレーニングも、ペップのトレーニングのように作用するんだ」と話し、さらに具体的な流れを解説した。
「彼は試合に向けて1週間、トレーニングを行う。その時に(試合に向けた準備の中で)キーとなるアクションを、僕らが行うべき課題として与えるんだ。試合当日だけを見れば、まるで僕らが直感に従ってプレーしているように見えるけど、大部分はその週のトレーニングやミーティングを通じて、自動的にそうなるように“植え付けられた”ものなんだ」
元ブラジル代表の伝説的左SBであるロベルト・カルロスに憧れ、レアル・マドリーのマルセロをお手本にしていると無邪気に話すアンヘリーニョ。
現在の積極的な攻撃参加と献身的なプレーが続けば、2200万ユーロ(約26億円)の買い取りオプション行使も時間の問題だろう。それだけ大きな存在感を放っている。
Photo: Getty Images
Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。