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コロナウィルスの脅威はスペインにも。予断を許さない状況が続く

2020.02.29

 2月28日朝、バレンシアがこんな公式声明を発表した。

 「トップチームのメンバーが参加するすべてのイベント(スポーツイベントを除く)の中止を決定した。その中にはリーガの試合前、試合後の記者会見も含む」


感染速度、上昇中

 バレンシアは29日、メスタージャにベティスを迎えてリーガ第27節を戦う。「スポーツイベントを除く」とあるのは、この試合は平常通り開催されるという意味だ。

 他クラブに先駆けてこんな予防策を発表したのは、去る19日にUEFAチャンピオンズリーグ、アタランタ戦の取材にイタリア北部(ロンバルディア州ベルガモ)に赴いたジャーナリスト1人のコロナウィルス感染が27日に明らかになったからだ。

 ついに、コロナウィルスの脅威がスペインに迫ってきた印象だ。先週イタリアでの感染拡大が明らかになり、“アジアの病気”というこれまでのイメージが一変した。

 イタリアとスペイン間の航空便の数は、1日百数十往復にもなる。今週に入ってスペインでも次々と感染が明らかになり、28日正午現在、その数25人。総数は少ないものの、27日だけで10人増と感染速度が上がっており、懸念が広がっている。

 そんな中、リーガ中止などの動きがないのは、スペイン政府の現状認識が「フェイズ1」の「抑制」に留まっているため。感染経路を潰していくことで食い止められると考えられているからだ。


中止・延期・無観客の可能性も

 ただ、先の感染者25人の中には、イタリアなど海外で感染したわけではない感染経路が不明の「地元感染者」が3人おり、先行きは予断を許さない。

 このまま感染経路不明の患者が増加していけば、いわば水際対策の「抑制」のフェイズは終了し、次の段階、感染の広がりを食い止める具体的な施策を伴ったフェイズに移行することになる。そうなると、人の移動や集合の制限が政府主導で行われることになり、欧州カップ戦やリーガ、コパ・デルレイの開催について中止や延期という処置が現実味を帯びてくる。

 3月10日に予定されているCLバレンシアvsアタランタ第2レグの開催について質問されたバレンシア州の保健関係者は、「正直言って、相手チームが来られるかどうかすらもわからない」「今から3月10日まで何日もある。もし同じ質問を先週されていれば、私の答えは大きく異なっただろうが……」と答えた。すべて今後の推移次第というわけだ。

 一方、ラ・リーガのハビエル・テバス会長はすでにリーガの中止や延期、無観客での開催についてシミュレーション済みであることを認め、その上で「どんな方法でもリーガを終わらせることが最優先」と、日程消化の重要性を強調している。


Photo: Getty Images

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アタランタコロナウイルススペインバレンシア

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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