ベルギー1部ジュピラー・プロ・リーグのセルクル・ブルッヘに所属するGKミゲル・ファン・ダンメは1月25日、白血病再発のため、3度目の闘病生活に入った。
順調なキャリアに突然の暗雲
現在26歳のファン・ダンメは2014年にセルクル・ブルッヘの育成組織から昇格。同年4月にプロデビューを飾ると、3年目の2015-16シーズンには正GKとなり、ベルギー2部プロキシマスリーグで33試合に出場した。
16-17シーズンの開幕前、メディカルチェックによって白血病が発覚。闘病のため16-17シーズンは欠場し、2017年9月のベルギーカップ6回戦vsヘンク戦にて1年3カ月ぶりの復帰を果たした。その後も治療を続け、2018年末に白血病の完治を発表。約2年半に渡る闘病生活を終え、2020年6月までの契約延長を勝ち取った。
難病から復帰し、再びレギュラー獲得を目指したファン・ダンメは、18-19シーズンのプレーオフ2で2試合に出場。2019年5月11日のワースラント・ベフェレン戦ではDF植田直通とともに守備を支えた。
しかし、シーズン終了後の休暇中に体調不良を訴え、帰国後に病院で検査を受けて白血病の再発を診断されてしまう。10月に幹細胞移植手術を行った後に退院。必死にリハビリを続け、今年1月には2019年度のジュピラー・プロ・リーグの年間表彰式「ゴールデン・シュー」にゲスト出演し、2、3カ月間での復帰を目指しているとインタビューで応えていた。
サプライズとしてティボー・クルトワやイケル・カシージャスからビデオメッセージが送られ、憧れの選手たちからの激励の言葉にファン・ダンメは涙した。
リハビリ中、三たび白血病が再発……
復帰を目指したファン・ダンメだが、今年1月25日に白血病細胞の発見により再入院することを自身のインスタグラムで発表。「再び病と戦わなければならなくなった。今は非常に厳しい状況だが、決して諦めず、もう一度復帰できるように全力を尽くす」と宣言した。
1月26日にアンデルレヒトとのホームゲームを控えていたセルクル・ブルッヘは、公式サイトで白血病研究基金団体『ME TO YOU』との連携を発表した。白血病により妻を亡くしたフィリップ・フィンデフォヘル氏と娘のエヴァ・フィンデフォヘル氏が2014年に設立した基金団体で、白血病研究の支援と患者のサポート、白血病の拡大防止を目的としており、ファン・ダンメへのサポートも続けている。
試合当日、セルクル・ブルッヘのファンショップには試合前にファン・ダンメへのメッセージボードが設置された。また、ファン・ダンメの背番号16に合わせ、試合開始16分には1分間のスタンディングオベーションと「ミゲル・ファン・ダンメ」コールが送られた。
また、32分にMFケビン・ホッガスのゴールで先制した際には、背番号16のユニフォームを掲げた。
同日に行われたコルトレイクvsクルブ・ブルッヘ戦、アントワープvsズルテ・ワレヘム戦、前日開催のワースラント・ベフェレンvsオイペン戦でも、開始16分にスタンディングオベーションが行われた。3度目の復帰を目指すファン・ダンメには、クラブの垣根を超えて激励の声が寄せられている。
Photo: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。