ユーベの開幕スタメンはディバラではなく……
24日、セリエAが開幕。8連覇中のユベントスはアウェーでパルマと対戦し、1-0で勝利した。
話題を呼んだのは、パウロ・ディバラがベンチスタートだったことだ。最近のプレシーズンマッチでは4-3-3のセンターフォワードへコンバートされて結果も出しており、地元紙ではパルマ戦で先発も予想されていた。しかしフタを開ければ、先発はゴンサロ・イグアインだった。試合途中でアップを命じられるが、30分ほどウォームアップをさせられた結果、出場はなし。「ディバラはベンチに戻ってビブスを投げ捨てた」という目撃談もある。
移籍登録期間はまだクローズしていない最中でベンチ送り。マンチェスター・ユナイテッドとロメル・ルカクとのトレード話が本格化した経緯もあって、すわ移籍の準備かとメディアは色めき立った。もっとも、ユーベ側はそれを否定している。ファビオ・パラティチCFOは試合前、衛星TV『スカイ・イタリア』に対しこう語っていた。
「ディバラは我われの10番で、みな彼には満足している。開幕戦だし、来たばかりの選手を使う必要があったから今日はこうなったということ。サッリ監督の時はもちろん、アッレグリ監督やコンテ監督の時だって同じことはあった」
一方でクローズアップされるイカルディ
しかしながらその同局は、「マウリツィオ・サッリ監督がセンターフォワードの動きができるFWを欲している」とも報じていた。事実、試合後、肺炎で欠場したサッリ監督の代行として指揮をとったジョバンニ・マルトゥシェッロ助監督は、ディバラを起用しなかった理由について記者会見でこう説明している。「パルマのような組織守備のしっかりした相手には、本職のセンターフォワードを置く必要があると我われは考えた」。あくまでも「技術上の理由であり、他の試合ではディバラの動きを必要とするだろう」と強調していたが、25日付の『ガゼッタ・デロ・スポルト』は「よりディバラが戦力外に近づいた」などと報じている。
その一方でクローズアップされるのは、ユーベが陰で触手を伸ばしていると噂のマウロ・イカルディだ。インテルから構想外を通知された彼だが、先日自身のSNS上で「ミラノに家を新築している」という旨の情報を開示した。「ローマや、そしてモナコへの移籍を断った彼の希望は、インテル残留か比較的近いトリノをホームタウンとするユベントスへの移籍だ」と地元紙は報じている。
パラティチCFOは「今のところ、我われのFWには満足している」と地元メディアに語る。しかしその一方で、「カルチョメルカートではたくさんのことが起こりうる。もしこの先、マロッタ氏(インテルCEO)と交渉のテーブルに着くことがあっても、誠心誠意で話していきたい」などと将来の交渉に含みを持たせていた。
移籍市場の終了は9月2日。ここから派手に動きそうである。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。