「セリエAに挑戦してみたかった」リベリーがフィオにやってきた!
バイエルン退団、そしてフィオレンティーナに
フィオレンティーナは21日、元フランス代表MFフランク・リベリーの獲得を発表した。複数の地元メディアの報道によると、契約期間は2年。年俸400万ユーロ(約5億円)に50万ユーロ(約6000万円)の成功ボーナスが付くという。
リベリーは今年5月にバイエルン・ミュンヘン退団を発表。7月末、その彼の獲得にフィオレンティーナが動いていると最初に報じたのはドイツ紙だった。当時「ウチがオファーを提示するのは無理だ」とダニエレ・プラデSDはイタリアでは地元メディアに対して語っていたが、水面下では長期にわたって獲得を模索していたという。
バイエルン・ミュンヘンでチームメイトだったルカ・トーニは、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応え「フランクとはよく話をしていたし、オファーを受けなよと勧めたのは僕だ。そもそも彼がバイエルンと契約更新をしていないとプラデさんに言ったのも僕だ」と語っていた。
もっとも、移籍交渉は簡単ではなかったようだ。一般紙『ラ・ナツィオーネ』によれば、ドイツとの間の税金処理の問題で手続きが少しややこしくなっていたようで、一方でスパルタクやロコモティフなどのモスクワ勢が強烈にプッシュ。ただ最後は、一度セリエAに挑戦してみたかったという本人の思いが優ったようだ。
チームはリベリーから学べるか
ケビン・プリンス・ボアテンク獲得にとどまらず、それこそ世界的な知名度を誇る選手を引き入れた。「ここには金を使うために来た」と補強を約束したロッコ・コンミッソ新会長の宣言通りに事は運んだということだ。しかしリベリーの獲得は、単にキャリア晩年に差し掛かったスターの獲得を意味するものではなさそうである。それは、本人がメディカルチェックと契約締結のためにフィレンツェを訪れた様子からもうかがい知ることができる。
「家族と一緒に来たよ。ここで何かを一緒に成し遂げたいと思う。フィオレンティーナの人とは話したし、(元チームメイトの)ルカ・トーニからも『クラブは大きくて、フィレンツェの街もとても素敵だ』と聞いていた。僕は満足だよ。イタリア語だって好きだしね」
ACFフィオレンティーナの公式WEBチャンネルのインタビューに応えた第一声だが、彼はこれをイタリア語でやったのである。専属のフィジオセラピストもイタリア人で(移籍にはこの人物の加入も条件になったという報道もある)、コミュニケーションにおける弊害は極めて軽微だと考えることができる。
ボアテンクはいざ知らず、サッスオーロから獲得したポル・リロラ、ボローニャから移籍してきたエリック・プルガルなど、フィオレンティーナが獲得した戦力はほとんどがセリエA経験者で言葉等の問題はない。若手やセリエA初挑戦者で構成される有力な選手をそろえておきながら、チームとして成長できず、後半戦に失速した昨季の反省を踏まえてのことだろう。
「リベリーはものすごく犠牲を払う人だから、キエーザも多くのことを学べるはずだ」
そうトーニは語り、残留を決めたフェデリコ・キエーザら若手の成長につながることを期待していた。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。