決まらない日程、突然の出場停止。いい加減なスペインのいい加減な話
スペインは良い国だがいい加減だ
「スペインサッカーは世界の笑いものだ」と月曜・金曜開催問題について、エイバルのメンディリバル監督は評していた。開幕1週間前なのに、エイバル対マジョルカの日時が確定していなかったからだ。結局、当初は19日(月)の予定だったが、17日(土)に開催された。準備時間が2日間も短縮されたのである。
これ、プロでなくて私のチームでも怒る。2日も違えば練習メニューから何から全部変わる。選手のフィジカルコンディションも、ケガの選手の回復具合も変わる。思えば、私がセビージャで街チームを指揮していた時には、開幕前日なのにカード未定、ということがあった。前日に子供を招集しないといけないのにどこに何時に行けばいいのか、指示できないのだ。
スペインは良い国だがいい加減だ。特にオーガナイズがなってない。前もって余裕を持ってやっておけばいいのに、直前になって大慌てでやる。スペイン人は慣れているが、在住20年近いが日本人の私にはいまだにストレスだ。
開幕当日になって出場停止
そんないい加減が、また起きた。「これで世界一のリーグになりたいって言うんだから」とパレホも呆れる一件である。
リーグ開幕当日の16日(金)になって、パレホ、ガジャ(バレンシア)、エルストゥオンド、ディエゴ・ジョレンテ(ソシエダ)、マクシモビッチ(ヘタフェ)、カルバハル(レアル・マドリー)の出場停止が確定したのだ。パレホがニュースを知ったのは最後の練習中だったが、カルバハルに至っては遠征先のビーゴ空港に着いた時だった。
これで監督は先発メンバーを変更しなければならないのはもちろん、用意したゲームプランもセットプレーなどの細かい戦術もすべて台無し。出場停止の選手はスタジアム観戦、代役の選手は急きょ先発のメンタルに切り替えないといけない。試合前日に、である。プロを馬鹿にしているんじゃないか、と思う。くどいが、これ俺でも激怒である。
そもそも事の発端は、累積警告で出場停止だった彼を、連盟のルビアレス会長の人気取りかなにか知らないが、15日になって「免除したい」と言い出したことだ。シーズンをまたいでペナルティを持ちこさないようにする、と規約を改正すると決めたからだ、という。
だが、これが余計なお世話だった。
その後、「免除したい」(連盟)→「免除に異議なし」(スポーツ高等委員会)→「やっぱり駄目」(懲罰委員会)と二転三転し現場は大混乱。念のために言うと、ルビアレスの提案を覆した懲罰委員会は連盟の下部機関である。
ヒアリングや根回しは無かったのか?
何で前からわかっていることを開幕の前日になって言い出したのか?
前もってやっとけよ! が私の意見であり、日本国民の総意でもあろう。
あーあ。とにもかくにもまたリーガが開幕した。
Photo: Getty Images
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。