グラウンド6面、巨大なオフィス、諸施設完備
国内外の優秀な若手をそろえて攻撃サッカーを展開する、アバンギャルドな経営で知られるサッスオーロ。その彼らが10日、新たな練習場となる「マペイ・フットボールセンター」の開所式を行なった。
45000平方メートルの敷地に、グラウンドが6面。トップチームのみならず、下部組織や女子チームの供用も想定された広大な施設だ。なかでも特徴的なのは、全長が110メートルにも及ぶ横長のクラブハウス兼オフィス棟。1階部分はトップチーム用のロッカールームや室内トレーニングルーム、フィジオセラピールームやプールも完備されている。2階部分は下部組織用となっており、ロッカールームは合計で8つ、ここにも専用のジムが設置されている。最大で135人の選手が一度に収容可能だとしている。
3階部分にはサッスオーロのクラブオフィスが入り、各室のベランダからは直接練習の様子が視察できるようになっている。さらにメイングラウンドには小さいながら屋根付きのスタンドも設置されており、練習を見学できるようになっている。10日には地元ファン向けの見学会も実施した。
「ゆくゆくはCL参戦」の足掛かりに
サッスオーロの親会社である大手建材メーカー『マペイ』が1200万ユーロ(約14億7000万円)の総工費を投じて造った大規模な施設は、ビッグクラブとも遜色ない規模だ。同社の会長でクラブのオーナーであるジョルジョ・スクインツィ氏は「クラブの発展のためには重要な施設となる。これを足掛かりにクラブの強化を図りたい」と表明。「我われの目標はリーグ戦で上位5、6位にコンスタントに位置し、ELに参戦すること。そしてゆくゆくはCLにも参戦したい」と野心を見せた。
スタジアムの整備が近々の課題として話題になるイタリアだが、各クラブにとっては練習場の整備も課題とされていた。ビッグクラブはもとより、下部組織を経営の柱とする地方クラブも、時にはトップチームの選手補強よりも優先する事項として施設整備に力を入れている。育成の雄・アタランタの練習場は5面に7人制サッカー用が1面、ウディネーゼも5面だ。キエーボやフロジノーネなども、複数のグラウンドにジム等を併設したトレーニングセンターを完備。現在はセリエAから遠ざかっているカターニアやノバーラといったクラブも、練習施設は強豪にも見劣りしない規模ものを備えている。
16日からU-21欧州選手権の本大会がイタリアで開催されるが、ベルギーのU-21代表が「マペイ・フットボールセンター」を合宿地として使うのだという。新たなカルチョの名所となることができるか。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。