4月6日の試合で、サウサンプトンに先制を許したものの、1-3の逆転勝利を果たして再びプレミアリーグ暫定首位に浮上したリバプール。
決勝点の場面ではコーナーキックで前がかりになっていたサウサンプトンからボールを奪い、自陣センターサークル内でボールを受けたモハメド・サラーが独走。唯一自陣に残っていたサウサンプトンDFライアン・バートランドの対応も虚しく、サラーはそのままペナルティエリア手前までボールを運び、左足で外に巻いたシュートが右サイドネットに突き刺さった。
この試合を中継していた『Sky Sports』では、解説を務める元イングランド代表DFギャリー・ネビルとジェイミー・キャラガーがバートランドの対応について議論を展開している。
まずネビルは「先週、(フィルジル・)ファン・ダイクが対応した1対2を思い出してほしい」と切り出し、前節トッテナム戦でリバプールのファン・ダイクが見せた守備と比較。最後の砦となったファン・ダイクは、センターライン付近でボールを受けたムサ・シソコに対してソン・フンミンへのパスコースを遮断するポジショニングをとり続け、ペナルティエリアに入ったところで一気に距離を詰めると、たまらず苦手な左足へとボールを持ち替えたシソコのシュートは大きく枠を外れていった。
「ファン・ダイクは本当によく対応していたんだ。お粗末なシュートだったことは間違いないけど、ソン・フンミンにパスを出させなかったことが明暗を分けたね」とファン・ダイクの完璧な対応を振り返ったネビルは、バートランドの対応に一定の理解を示した上でサラーの判断と技術を称賛した。
「バートランドもサラーに対して右足へボールを持ち替えさせようとしたが、サラーは左足でボールを持ち続けた。彼の正確さと冷静さが光っているよ。あの角度からゴールを決めるのは難しいんだ。普通はゴールから逃げるように曲がってポストから外れてしまうからね。彼のシュートがとにかく素晴らしかった」
一方、リバプールOBのキャラガーは後輩の決断力を引き合いに出してこう苦言を呈した。
「バートランドの対応は褒められたものではないよ。先週のファン・ダイクの対応を忘れてはいけない。ファン・ダイクはあえてシソコにシュートを撃たせたけど、この場面では違った。ボールがサラーの左足にあるというのに、走りながら『パス!パス!パス!』しか頭になかったんだ。あえてロベルト・フィルミーノにパスを出させて、彼にシュートを撃たせることもできたよ」
駆け上がってきたフィルミーノへのパスを警戒し過ぎてシュートコースを空けていたことを指摘したキャラガーに、「確かにバートランドはあと2ヤードほど詰めることができたかもしれない」とネビルも同調。2人は前節でファン・ダイクが見せたような決断力がバートランドに欠けていたという結論に至り、ネビルが白熱した議論を締めくくった。
「バートランドはとても素早く後退してポジションにつき、とっさに反応していたけど、ペナルティアークに差しかかったところで決断をすべきだった。サラーを迷わせてパスを出させても良かったんだ。少し距離があるシュートだったが、“アリバイ守備”になっていたことは否めないね。いずれにせよ、素晴らしいフィニッシュだったし、大きなゴールだったよ」
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足立 真俊
1996年生まれ。米ウィスコンシン大学でコミュニケーション学を専攻。卒業後は外資系OTAで働く傍ら、『フットボリスタ』を中心としたサッカーメディアで執筆・翻訳・編集経験を積む。2019年5月より同誌編集部の一員に。プロフィール写真は本人。Twitter:@fantaglandista