6月14日にドイツで開幕したUEFA EURO 2024で、注目を集めている“預言者”がいる。
ワールドカップやEUROといった国際大会では、毎回のようにキュートな予想屋が登場するが、今大会も例外ではない。2010年のワールドカップ・南アフリカ大会では、タコのパウル君が母国ドイツの全7試合を的中させるなど完璧な予想を披露して話題になったが、今回はダックスフント犬のルートビヒ君が“ゴールの匂い”をかぎ分けている。
ドイツ国旗を目がけて一直線
ルートビヒ君は、地元ミュンヘンで開かれたイベントにてドイツ vs スコットランドの開幕戦の勝敗を予想した。ドイツ国旗、スコットランド国旗、そして両方の国旗(引き分け)の前にルートビヒ君の好物であるチキンのおやつが入った3つのボウルが置かれ、その中からどれを選ぶかで勝敗を予想するというシステムだ。
今大会の行方を占う大事な初戦。『南ドイツ新聞』によると、国民の期待を一身に背負った3歳のルートビヒ君は、ドイツ国旗のボウルを目がけて一直線で走っていき、集まったメディアやイベントの主催者をホッとさせたそうだ。
英紙『The Times』によると、ルートビヒ君の飼い主であるフォルカー・ヒデマンさんは愛犬について「サッカーが大好きで直感力に優れている。ダックスフントとしては非常に落ち着いており、思慮に富んでいる」と自慢気だったそうだ。
ルートビヒ君は本当にサッカーに詳しいようで、今大会の優勝チーム予想ではイングランドやフランス、開催国ドイツと並んで優勝候補の一角に挙げられるポルトガルを、24個のボウルの中から選んだという。
ハイレベルゆえに接戦を予想する動物も
もちろん、特別な能力で今大会の勝敗予想に挑んでいるのはルートビヒ君だけではない。ベルリンの動物保護施設では8㎏のアカアシガメ「ゴリアテ」が“予想外”の予想を展開しているという。
ベルリンのタブロイド紙『B.Z.』の公式EURO預言者に任命された「ゴリアテ」は、好物のパパイヤやドラゴンフルーツが入った2つのボウルを使って勝敗を予想。14日の開幕戦では、開催国のドイツではなく、なんとスコットランドの勝利を予想したという。
どうやら、ワールドカップよりもレベルが高いとされるEUROでは接戦を予想する動物が多いようで、ミュンスターのアルベッター動物園にいるアメリカバクの「テオ」もスコットランドの勝利を予想。ライプツィヒ動物園のアシカ「ヒラ」は、開幕戦ではドロー決着を予想したそうだ。
だが、実際の開幕戦は波乱が起きずに開催国ドイツがスコットランドを5-1で粉砕してホームサポーターを安堵させた。初戦から予想を外してしまった“予想屋”もいるが、ダックスフントのルートビヒ君のほか、シーズー犬の「ヨーダ」、スナネズミの「オレオ」、ハイランド牛の「サミー」などはいずれも開幕戦で勝敗予想を的中させ、預言者として順調なスタートを切っているそうだ。
Photo: Getty Images
Profile
田島 大
埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。