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二転三転の末…バルセロナ、シャビ監督の解任を正式発表

2024.05.25

 1月27日にシャビ今季限りでの退団を発表。4月24日夜、ジョアン・ラポルタ会長の自宅での会談によってシャビ続投で合意。翌25日の記者会見では、シャビが「君子は豹変する」という名言を残し、会長が感極まって涙するシーンもあったのだが、あれからちょうど1カ月後の5月24日の昼、シャビ解任が発表された。

即興で繰り出された解任劇

 噂はあった。会長と監督の関係に亀裂が入ったのは、5月15日の記者会見で「欲しい選手が自由に獲れた時代とは違う。今の財政危機下でトップレベルのチームと競い合うのは難しい」という意味の発言をしたからだ、とされる。

 続投の合意時に「今のチームで戦える」と確約されていたラポルタ会長は、この言葉を裏切りと受け取った。そしてこの翌日から「会長が激怒した」「解任の腹を決めた」「新監督探しに入った」といったニュースがスポーツ紙を賑わせ始める。

 今週にはハンジ・フリック元ドイツ代表監督とロンドンで接触したという報道があり、シャビの解任が秒読みに入ったと言われていた。そんな中、チームは先週、目標通り2位確保を決めたのだが、そんなことが考慮されることはなかった。

 会長周辺を情報源とするこれらのニュースは、“解任のための地固め”だった。解任のXデーは当初「今週中」と言われ、「シーズン終了後」に延期され、急きょ「今朝(5月24日)」となったようだ。最終節に向けて普段通り練習しているところに、会長、スポーツディレクターのデコらが次々と車で乗り付けて緊急会談、という相変わらずのドタバタ。今週末でシーズンが終わるのを待たず、明日(25日)の女子チームが戦う女子チャンピオンズリーグのファイナルが終わるのも待たなかった。最近のバルセロナのマネジメントは、こうした即興ばかりだ。

会見で何を語るのか、語らないのか

 シャビが指揮を執るのは26日のセビージャ戦が最後になる。25日に前日会見が予定されており、急転直下、解任された彼が何を言うのかが当然、注目を集めているが、この余計な騒動もシーズン終了後の決断であれば避けられたはずだ。

 解任の噂を「聞いていない」「会長とデコの自分への信頼は変わらない」と否定し続けたシャビが、最後にどんな爆弾を投下するのか、しないのか? さすがに口裏を合わせて、会長とクラブのイメージが傷つかないよう工作するのだろうと想像するが、感情的になるとコントロールを失うレッドカードの常連シャビのことだから、口を滑らせる可能性もある。

 あと、スタッフを含めると1800万ユーロ(約30億4630万円)になると言われる契約解除金は払われるのか、払われないのか。続投会見の場では、退団時にシャビは契約解除金を受け取らないつもりだった、ということが美談として伝えられのだが、さすがにこの酷い仕打ちを受けて意見を変えてもおかしくない。


Photo: Getty Images

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ジョアン・ラポルタバルセロナハンジ・フリック

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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