川崎フロンターレのアカデミー出身の横田大祐は、高校3年次に川崎Fを退団し、ドイツのFSVフランクフルトU-18へ移籍した。1年後にカールツァイス・イェーナのユースチームへと移籍したものの、2020年7月に契約満了。約半年に渡る無所属生活を経て、2021年1月にラトビアのバルミエラと契約した。
東欧圏での活躍により名門ヘントへ
バルミエラで主力選手として活躍した横田は、2年間で57試合9ゴールと活躍し、2022年にはクラブ史上初のリーグ優勝に大きく貢献した。2023年2月にポーランド・エクストラクラサのグルニク・ザブジェへ移籍。元ドイツ代表でヴィッセル神戸にも所属していたFWルーカス・ポドルスキ、当時所属していた日本代表FW奥抜侃志(現ニュルンベルク)とチームメートになった横田は、合流直後から右ウイングのポジションを確保する。2023-24シーズンは、前半戦だけでチームトップの7ゴールと着実に結果を残してきた。
2024年に入り、横田の活躍に注目したのが、ベルギートップクラブの一つであるヘント。日本代表DF渡辺剛を擁するヘントは、昨年末にシントトロイデンからGKシュミット・ダニエルを獲得した。そして1月15日、横田の獲得を発表し、ヘントは日本人選手が3人所属するクラブとなった。
バルミエラからグルニク・ザブジェでの移籍金は3万ユーロ。今回のヘントへの移籍では200万ユーロが支払われており、市場価値は約60倍に跳ね上がった。2023年夏に40万ユーロでドイツ2部のニュルンベルクへ移籍した奥抜の移籍金より5倍以上も多い金額だ。
加入直後にスタメン抜擢
1月19日にリーグ戦再開したベルギーリーグ。3位につけているヘントは、ホームのゲラムコ・アレナでメヘレンと対戦した。加入したばかりの横田は背番号14を背負い、スターティングメンバーに名を連ねた。
アフリカネーションズカップ、アジアカップにより主力の多くが離脱しているヘントは、横田、シュミット・ダニエルらフレッシュなメンバーで臨んだものの、メヘレンのGKガエタン・クッケの好セーブに阻まれ、チームは1-2で敗れた。多くの選手が離脱している状況には、ベルギー有数の指導者であるファンハーゼブルックも頭を悩ませている。
今冬のヘントは、左WBのマリック・フォファナ、ナイジェリア代表FWギフト・オルバンが、フランス・リーグ1のリヨンに移籍。更には今季好調のタリク・ティスダリがモロッコ代表としてアフリカネーションズカップに、セカンドトップのホン・ヒョンソクは韓国代表としてアジアカップに出場するためチームを離れている。元ベルギー代表FWローラン・ドゥポワトルがコンディション不良のため、現在ヘントの前線は、昨季得点王のフーゴ・カイペルスが孤軍奮闘する状況だ。
ケガや代表招集などで多くの選手が離脱しているヘントは今が正念場だ。しかし、この難しいタイミングで加入した横田には、ファンハーゼブルック監督も大きな期待を寄せている。ベルギー紙『VoetbalNieuws』によると、ファンハーゼブルック監督は「横田は170cmと小柄だがとても速いウイングだ。ボールコントロールにも優れており、視野の広さにも長けている。非常にクレバーで様々なポジションでプレーできる。ウイングだけでなく中央でもプレーできるね」と期待が大きい。
急速なステップアップを果たしている横田だが、2014-15シーズン以来の9年ぶりのリーグ優勝と、UEFAカファレンスリーグ上位進出を目指すヘントのカギとなるウイングだと言えるだろう。活躍に期待したい。
Photo: Getty Images
Profile
シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。