イングランドのクラブにはそれぞれ特徴があるため、各チームを他ジャンル、例えば食材で例えることができる。それどころか、もっと狭いジャンルで表現することだって可能である。例えば「ソーセージの種類」などで――。
先日、英紙『The Guardian』のポッドキャストに出演した記者が、今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に出場しているイングランド勢4チームを「ソーセージで例える」という無茶ぶりに挑戦していたので紹介しよう。
王者シティは「少し飽きてくる」伝統料理
そもそもソーセージは「製造方法は関係ない。美味しければ何でもいい」という考え方もある。そうなると「ペップ・グアルディオラよりもジョゼ・モウリーニョだね」と、マーク ・ラングドン記者は“成果主義”や“リアリスト”として知られる世界的な指揮官の名前を出した。確かにソーセージは様々な製造工程を経て家庭に届けられるが、酒の肴やご飯のおかずとして何も考えずに堪能するのが一番だろう。
それでもソーセージには色々な種類があるそうで、その特徴でフットボールチームを表現することが可能だという。まずはCL連覇を目指すマンチェスター・シティである。昨季は圧倒的な強さでプレミアリーグ、FAカップ、CLの三冠を達成し、今シーズンも優勝候補の大本命とみられる王者は、グループステージで順当に連勝スタートを切った。
その抜群の安定感を評価して「シティはソーセージロールだ」と主張する。パン生地やパイ生地でソーセージを包んだ英国の伝統料理を選んだ理由に関してラングドン記者は「どこで食べても味は同じ。一貫性がある」と説明し、プレミア3連覇を達成して6シーズン連続でCLベスト8以上の成績を残している常勝軍団の安定感を評価した。しかし「嫌いじゃないけど、少し飽きてくる」と、強すぎるせいで少し面白みが欠けてきたことも指摘する。
続いて20年ぶりにCL出場を果たしたニューカッスルだが、記者は自身の一番好きなソーセージである「肉屋のハニーマスタード・ソーセージ」を選択。「甘み」と「観客のホットさ(辛さ)」があるとして、熱狂的なサポーターの後押しを受け、今月4日に行われたグループステージ第2節でFWキリアン・ムバッペを擁するパリ・サンジェルマンを4-1で撃破した チームを称賛した。
アーセナルについては、フィッシュ&チップス専門店などで提供される衣で揚げた「バタード・ソーセージ」を挙げた。「はじめはいいんだ。最初の1口、2口は美味しく思えるけど、食べ続けると変な気分になってくる」と理由を説明。好スタートを切りながら肝心な時に失速しがちなチームのもろさを指摘した。さらに「食後には少し影響も出るしね!」として、グループステージ第2節のランス戦でチームの主軸であるイングランド代表FWブカヨ・サカをケガで失って敗れたことにも触れた。
ユナイテッドは「最も美味しくない肉」
最後はマンチェスター・ユナイテッドだが、やはり悩める名門は評価が低かった。「私がこれまで食べた中で最も美味しくない肉」として「ターキー(七面鳥)・ソーセージ」を挙げた。オーランドに滞在したときに朝食のビュッフェで食べたそうで「ターキーとは知らずに食べたが、あれはひどかった」と酷評。もちろんユナイテッドが今月3日のホームゲームで“トルコ(Turkey)”のガラタサライに敗れたこともかかっている。
ユナイテッドにはついては番組MCも「一晩オーブンに入れっぱなしにした最高のソーセージ」と提案した。高級品でお金もかかっているし、ちょっと前までは最高に美味しかったけど「気づけば革のように硬くてボロボロになっている」と揶揄した。
番外編としてニューカッスルに敗れたPSGについても言及。彼らは「Andouillette(アンドゥイエット)」というフランスの名物料理 に例えることができるそうだ。ちなみにアンドゥイエットは、豚の臓物を詰めたソーセージ。かなり独特な臭いを発するため、 自宅で調理する際には気をつけないといけないそうだ。
Photo: Getty Images
Profile
田島 大
埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。