昨年のW杯ではまさかのGS敗退に終わったベルギー代表。6年間に及んだロベルト・マルティネス体制は終焉し、今年2月からはドイツ人のドメニコ・テデスコが就任した。シャルケ、RBライプツィヒなどを率いた37歳の青年監督が、初めて代表チームを率いることになる。
W杯終了後にキャプテンのエデン・アザールを初め、トビー・アルデルワイレルト、シモン・ミニョレが代表を引退。黄金世代の高齢化が目立ち、前体制では世代交代の遅れが顕著になっていたベルギーは、主力選手の引退により硬直化していたチーム体制の変革を求められることになった。
テデスコは、新キャプテンにケビン・デ・ブライネを指名。3月25日に発表された代表メンバーの中で初招集はサウサンプトンのMFロメオ・ラビアのみだったが、これまで代表常連だったMFアクセル・ウィツェル、FWドリース・メルテンス、MFトルガン・アザール、FWミシー・バチュアイ、MFレアンデル・デンドンケルらが代表選考から外れ、フレッシュな顔ぶれが並んだ。
新戦力が活躍
初陣となったEURO2024予選アウェイでのスウェーデン戦では、長年使用してきた[3-4-3]から[4-4-2]へとシステムを変更。2トップはロメル・ルカクとレアンドロ・トロサールがコンビを組み、スタメンにはDFウォウト・ファース(レスター)、アルトゥール・テアテ(レンヌ)、FWドディ・ルケバキオ(ヘルタ・ベルリン)など、これまで出場機会に恵まれなかった選手を起用した。
試合はルカクのハットトリックにより、ベルギーが0-3で快勝。いずれも右サイドを突破してからのゴールで、ドディ・ルケバキオが2アシスト、ジェレミー・ドクの負傷による追加招集で急きょ初代表になった19歳のヨハン・バカヨコ(PSV)がアシストを決め、新監督の期待に応えた。
ベルギー紙『Le Soir』の記事によると、テデスコは「守備陣は所属クラブで4バックでプレーしている。そして[4-4-2]は誰もが知っているシステムであり、限られた時間で準備することができる。そしてスウェーデンのシステムにも対応できる」と話している。クラブチームとは異なり、練習時間も限られる代表戦にも対応ができる手腕は、ベルギーメディアから高く評価されている。
0-2でリードした後は、トロサールを下げてセントラルハーフのオレル・マンガラを起用し、システム[4-3-3]に変更。ロベルト・マルティネス体制では、かたくなに[3-4-3]にこだわっていたのと異なり、システムを変更する柔軟性と余裕を披露した。
さらに、やはり敵地での親善試合となったドイツ代表戦でも2-3で競り勝ち連勝スタート。新体制で合流してから練習時間が限られる中で、充実した内容と結果を残したテデスコ新体制のベルギーに対する各メディアからの評価は上々だ。W杯での閉塞感漂うチームから脱却し、新鮮でエネルギッシュなベルギーに生まれ変わりつつある。
Photo: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。