11月20日のカタールvsエクアドル戦から、2022年カタールワールドカップが開幕した。2018年大会で過去最高の3位になったベルギーは、悲願の初優勝を狙う。
最も経験のあるベルギー
ベルギー紙『Le Soir』によると、ベルギーは全32カ国中、選手の代表キャップ総数が最も多く、W杯の経験が豊富なチームとして取り上げられている。今大会招集された26選手のW杯試合出場数の合計は、104と最も多い。2014年から3大会連続出場のベルギーだが、4大会以上連続出場しているウルグアイ(98試合)やフランス(80試合)を上回り、唯一の3桁を誇っている。
長らく代表を引っ張ってきたバンサン・コンパニ、トーマス・フェルメーレン、マルアン・フェライニ、ムサ・デンベレらは代表から退いたが、キャプテンのエデン・アザールをはじめ、9選手が3大会連続出場となる。2002年の日韓大会後は2大会連続でW杯出場を逃し、10年以上も国際大会から遠ざかる暗黒時代があったと思えないほど、現在では最も経験の豊富なチームになった。
ヤン・フェルトンゲン、トビー・アルデルバイレルトなど、欧州のトップレベルから離れてベルギー国内でプレーしている選手も増え、ベテラン勢の衰えが懸念され、世代交代を求められる声も多く、ベルギー国内では論議されている。ロベルト・マルティネス監督は「保守的」と批判されることも多いが、長らくチームを支えてきた「黄金世代」に絶大の信頼を寄せている。
若手の台頭が求められる時期
全出場国の中でも最も経験が豊富なベルギーだが、主力選手の負傷が目立っている状況だ。エースストライカーのロメル・ルカクは、負傷した右太腿裏の回復が遅れており、グループリーグ3試合の出場の見込みがない状況だ。代表キャップ102試合、ベルギー代表最多得点の68ゴールを叩き出しているルカクの負傷はベルギーにとっては大きな痛手だ。
ルカクの代役は、トルコでプレーしているドリース・メルテンス、ミシー・バチュアイなどの古株が有力視される。保守的な采配が目立つロベルト・マルティネスが、22歳のロイス・オペンダや21歳のシャルル・デ・ケテラーレなどの若手を大舞台で起用する可能性はあまり高くないと考えられる。
しかし、今大会のW杯では交代枠が5人まで拡張されている。優勝を視野に入れるベルギーとしては、ベテラン勢の主力を温存しながらうまく若手を起用していきたいところだ。22歳のDFアルトゥール・テアテ、21歳のMFアマドゥ・オナナ、20歳のFWジェレミー・ドク、19歳のDFゼノ・デバストらが存在感を発揮することが、上位進出と大会後のベルギーを左右すると考えられる。
レッドデビルズは「黄金世代」の集大成とともに「世代交代」がテーマとなる。
Photo: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。