10月1日、クルド系の人権団体「Hengaw」は、イラン1部リーグのトラクターに所属するイラン代表FWカーベ・レザエイがイラン当局によって拘束されたことを報じた。レザエイは、現在イラン全土で広がっている、髪を隠すスカーフのかぶり方が不適切とされ、イランの道徳警察に拘束された後に死亡した事件に対する抗議デモに関わったとされている。
森岡とともにベルギーで活躍
イラン代表で18試合に出場している30歳のレザエイは、2009年にイランのフーラードでデビューすると、サイパ、ゾブ・アハン・エスファハーンでプレーした後、17年にベルギーリーグのシャルルロワへ移籍した。初の欧州挑戦となったシーズンで29試合12得点の活躍を見せると、翌18年には当時のシャルルロワにおける最高額となる500万ユーロでクルブ・ブルッヘに移籍した。
クルブ・ブルッヘでは負傷の影響によって出場機会には恵まれなかったが、19年に期限付き移籍でシャルルロワに復帰すると、25試合14得点の活躍。森岡亮太から配給されるパスを正確なシュートで多くのゴールに変え、中堅クラブであるシャルルロワをトップ3まで導いた。
2021-22シーズンにOHルーフェンでプレーし、イランに帰国。かつてルビン・カザンの監督を務め、09年にジョゼップ・グアルディオラが率いていたバルセロナを撃破するという実績を持つトルクメニスタン人のクルバン・ベルディエフが率いるトラクターFCに加入していた。
1人の女性の死が大規模デモに発展
イラン政府に対する大規模な抗議デモは、イラン北西部でクルド系の女性、マーシャ・アミニさんが死亡した後の9月16日から始まっている。イランでは女性に対する厳格な服装規定があり、頭髪をスカーフで覆うように定められている。これに違反したとされたアミニさんは、道徳警察によって拘束された後に死亡した。彼女は健康上には問題がなかったとされているため、道徳警察による暴行疑惑が浮上しており、大規模な抗議デモに発展している。この動きに対して、同じクルド人のレザエイも自身のSNSで抗議デモへの支持を表明した。
イラン政府は、大規模な抗議デモを外国勢力が支援していると非難しており、特にイラン国内外にいるクルド人勢力を警戒している。9月29日には、イランの革命防衛隊がイラン領土内のクルド人自治区アルビールをミサイル攻撃している。
国内外のクルド人勢力に圧力をかけているイラン当局。今回はレザエイの他に、同じクルド系の元イラン代表DFボリヤー・ガフーリも拘束されており、クルド人に対する締め付けが厳しくなっているようだ。
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。