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残り3節、降格圏直前での決断…カリアリがマッツァーリ監督を解任

2022.05.04

 イタリア衛星放送『スカイ・スポーツ』等の地元メディアは5月2日、カリアリがワルテル・マッツァーリ監督の解任を決めたと報じた。後任には下部組織を指導していたアレッサンドロ・アゴスティーニ監督が持ち上がりでチームを指導することになるとも報じられている。

改革成功からの急降下で…

 ホームで行われた4月30日の第35節エラス・ベローナ戦は1-2で敗北。これで勝点は28のままとなり、降格圏となる18位タイのサレルニターナ並びにジェノアとの勝点差は3と危機的な状況となった。

 マッツァーリ監督は「試合後には選手たちと話をした。何もかもがダメだった。厳しい状況になったが諦めない」とコメントしていたが、その後、更迭へ。「試合でのアプローチをフロントは気に入らず、残り3節であっても解任を決断した」と報じられていた。

 マッツァーリ監督は昨年9月、開幕ダッシュにつまずいたのと、フロントとの方針の違いから解任されたレオナルド・センプリチ監督の後任としてカリアリの指揮を任された。自分のために編成されたチームではなく、また一部選手とフロントの間にも不協和音が見られる中でチームを切り盛りし、立て直しに尽力。

 前半戦は19位と流れを変えられずにいたが、ラウル・ベッラノーバやダウベルト、ガストン・ペレイロらの重用によって、チームの改革に一度は成功。後半戦8試合経過の時点でリーグ戦5位相当という好成績を誇り、順位を一度は降格権から上に引き上げていた。

 だが、第28節のラツィオ戦で0−3と敗れて以降、1勝6敗と急ブレーキ。そしてベローナ戦で敗北を喫したことで、指揮官の解任が決断された格好となった。

後任人事には批判の声も

 しかし地元の反応は様々だ。「8試合で1勝7敗というペースでは解任に至るのも当然」とクラブの決断に理解を示すメディアがある一方で、「クラブの運営自体が混乱しているのを監督のせいにはできないだろう」「残り3試合での決断はあまりにも遅すぎないか」など、ネットでは批判的な反応も多かった。

 一方、この土壇場でアゴスティーニ監督に指揮を任せることに不安の声も大きい。

 かつてカリアリで8シーズンにわたってプレーし、引退後にサルデーニャ島に戻って指導者に転身した元左SB。これまた同クラブ出身のアンドレア・コッスSDが強く推薦していると地元メディアでは報じられているが、セリエAクラブ指導に必要なUEFA PROライセンスをまだ取得しておらず、公式には代理を立てることなどが必要となる。

 「この状況を経験のない監督に任せるのは無謀ではないのか」との批判も、フロントには上がっている。


Photo: Getty Images

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カリアリワルテル・マッツァーリ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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