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鈴木武蔵は今季ノーゴール…ベールスホット、2部降格が決定

2022.03.21

 3月13日、日本代表FW鈴木武蔵が所属するベールスホットが、ホームのオリンピシュ・スタディオンでヘントに0-2と敗れ、3試合を残してレギュラーシーズン最下位が確定。2季ぶりの2部降格が決定した。

崩壊の兆しは昨季から

 2020-21シーズンでは開幕から好調で、一時は首位に立っていた。リーグ最多失点を喫しながらも、オーストリア代表MFラファエル・ホルツハウザーを中心とした攻撃陣が爆発し、サプライズを起こしていた。第二次世界大戦前までに7回の優勝を誇った古豪にとっては復活の狼煙を上げるシーズンとなり、昇格組ながら欧州カップ戦出場も視野に入る躍進を見せていた。

 しかし2021年1月に入り、チームを率いていたアルゼンチン人のエルナン・ロサダ監督が、アメリカMLSのDCユナイテッドに引き抜かれる事態となった。さらには移籍ウィンドウ最終日に得点源でリーグ屈指のドリブラー、モロッコ人FWタリク・ティスダリがヘントに移籍。監督の後任にはアシスタントコーチを務めていたウィル・スティル(現スタンダール・リエージュコーチ)が就任するも、選手時代から中心を担った「アイコン」のロサダと大黒柱だったティスダリの穴を埋めることはできず、結局は欧州カップ戦を争うプレーオフ2を逃す9位で終了していた。

 長短のドリブルで攻撃を構築するティスダリの存在は大きく、チームのキーマンであるホルツハウザーの負担を軽減させていた。そのティスダリが抜けた穴は非常に大きく、年明けから得点力不足に悩まされた。鈴木武蔵は昨季、5得点を挙げたが、そのすべてがティスダリと2トップを組んだ試合でのものだった。彼が抜けて以降、ノーゴールだったことからも、2021年冬の引き抜きが痛恨だったことが分かる。

2度の監督交代で迷走

 2021-22シーズンに向けては、シントトロイデンを率いたペーテル・マース監督が就任。スコットランド代表経験があるFWローレンス・シャンクランド、21歳のクロアチア人FWレオン・クレコビッチ、ボリビア代表MFラミロ・バカなど獲得したものの、ティスダリ放出後にチャンスメーク不足が顕著になったチーム状況を回復させることはできなかった。

 9月21日にマース監督を解任し、アルゼンチン代表やマルセイユでマルセロ・ビエルサ監督のアシスタントコーチを務めていたハビエル・トレンテを招聘。攻撃的なスタイルは継続したものの、チームの中心であるホルツハウザーを止めればFWまでボールが届かない状況はほぼ変わることがなく、得点力不足に悩まされた。トレンテは2月7日に解任され、現在はファンデリートコーチが監督代行を務めている状態だ。

 2020-21シーズンは「最多得点最多失点」と派手なゲームを得意としていたが、現在はリーグ屈指の矛を折られ、脆弱な守備だけを残す状況になっている。

鈴木武蔵は退団が濃厚

 ベールスホットの背番号10を身につけ、期待が大きかった日本代表FW鈴木武蔵。チーム合流直後は出場機会に恵まれ、リーグ屈指の得点力を誇るチームを支える活躍を見せていたが、今季は24試合に出場していまだに得点がなく、屈辱的なシーズンを送っている。

 チームの中心選手として期待が大きかっただけに、地元メディアからの評価は芳しくない。トレンテ監督が就任してからはポジションを争うライバルのシャンクランドが重宝されており、ベンチが定位置となっている。今冬にはFWの放出が相次いだメヘレンへの移籍が取り沙汰されたが、移籍ウィンドウ終了までに手続きが間に合わず、結局残留することになった。

 ベルギー各メディアでは、ベールスホットが降格になった場合、鈴木武蔵は違約金なしで他のクラブへ移籍できる条項になっていると報じられている。混迷を極めたベールスホットから解き放たれ、新天地での活躍に期待したいところだ。


Photo: Getty Images

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ベールスホット鈴木武蔵

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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